「その……二人は僕のためにマルフォイを追つけていたんだ」ハリーが言った。
「昼も夜もです」クリーチャーが嗄しわがれ声で言った。
「ドビーは一週間、寝ていません、ハリー・ポッター!」
ドビーはふらふらっとしながら、誇ほこらしげに言った。
ハーマイオニーが憤慨ふんがいした顔になった。
「ドビー、寝てないですって? でも、ハリー、あなた、まさか眠るななんて――」
「もちろん、そんなこと言ってないよ」ハリーが慌あわてて言った。
「ドビー、寝ていいんだ、わかった? でも、どっちかが何か見つけたのかい?」
ハーマイオニーがまた邪魔じゃまをしないうちにと、ハリーは急いで聞いた。
「マルフォイ様は純じゅん血けつにふさわしい高貴こうきな動きをいたします」
クリーチャーが即座そくざに答えた。
「その顔かお貌かたちはわたしの女主人様の美しい顔立ちを思い起こさせ、その立たち居い振舞ふるまいはまるで――」
「ドラコ・マルフォイは悪い子です!」ドビーが怒ってキーキー言った。
「悪い子で、そして――そして――」
ドビーは、ティーポット・カバーのてっぺんの房飾ふさかざりから靴下くつしたの爪先つまさきまでぶるぶる震ふるえ、暖だん炉ろめがけて飛び込みそうな勢いで駆かけ出した。ハリーはこういうこともありうると予想していたので、腰こしのあたりをつかまえてすばやくドビーを押さえた。ドビーは数秒間もがいていたが、やがてダラリとなった。
「ありがとうございます。ハリー・ポッター」ドビーが息を切らしながら言った。
「ドビーはまだ、昔のご主人のことを悪く言えないのです……」
ハリーがドビーを放すと、ドビーはティーポット・カバーをかぶり直し、クリーチャーに向かって挑いどむように言った。
「でも、クリーチャーは、ドラコ・マルフォイが、しもべ妖精にとってよいご主人ではないと知るべきです!」
「そうだ。君がマルフォイを愛しているなんて聞く必要はない」
ハリーがクリーチャーに言った。
「早回しにして、マルフォイが実際どこに出かけているのかを聞こう」
クリーチャーは憤慨ふんがいした顔で、また深々とお辞じ儀ぎをしてから言った。
「マルフォイ様は大おお広ひろ間まで食事をなさり、地下室にある寮りょうで眠られ、授じゅ業ぎょうはさまざまなところ――」
「ドビー、君が話してくれ」ハリーはクリーチャーを遮さえぎって言った。
「マルフォイは、どこか、行くべきではないところに行かなかったか?」
「ハリー・ポッター様」
ドビーは、テニスボールのような大きい眼めを暖炉だんろの灯あかりに煌きらめかせながら、キーキー言った。
「マルフォイは、ドビーが見つけられる範囲はんいでは、何の規則きそくも破っておりません。でも、やっぱり、探られないようにとても気を使っています。いろいろな生徒と一いっ緒しょに、しょっちゅう八階に行きます。その生徒たちに見張らせて、自分は――」
「マルフォイ様は大おお広ひろ間まで食事をなさり、地下室にある寮りょうで眠られ、授じゅ業ぎょうはさまざまなところ――」
「ドビー、君が話してくれ」ハリーはクリーチャーを遮さえぎって言った。
「マルフォイは、どこか、行くべきではないところに行かなかったか?」
「ハリー・ポッター様」
ドビーは、テニスボールのような大きい眼めを暖炉だんろの灯あかりに煌きらめかせながら、キーキー言った。
「マルフォイは、ドビーが見つけられる範囲はんいでは、何の規則きそくも破っておりません。でも、やっぱり、探られないようにとても気を使っています。いろいろな生徒と一いっ緒しょに、しょっちゅう八階に行きます。その生徒たちに見張らせて、自分は――」