「それで、あなたはどうだったの?」
ハーマイオニーはロンを無視して聞いた。
「ずっと『必要の部屋』に関わりきりだったの?」
「そっ」ハリーが言った。「それで、誰だれに出会ったと思う? トンクスさ!」
「トンクス?」ロンとハーマイオニーがびっくりして同時に聞き返した。
「ああ。ダンブルドアに会いにきたって言ってた……」
「僕が思うには――」
ハリーが、トンクスとの会話のことを話し終わると、ロンが言った。
「トンクスはちょっと変だよ。魔法省での出来事のあと、意い気く地じがない」
「ちょっとおかしいわね」
ハーマイオニーは、何か思うところがあるのか、とても心配そうだった。
「トンクスは学校を護まもっているはずなのに、どうして急に任務にんむを放棄ほうきして、ダンブルドアに会いにきたのかしら? しかも留守なのに」
「こういうことじゃないかな」
ハリーは遠えん慮りょがちに言った。こんなことを自分が言うのはそぐわないような気がした。むしろハーマイオニーの領りょう域いきだ。
「トンクスは、もしかしたら……ほら……シリウスを愛してた?」
ハーマイオニーは、目を見張った。
「いったいどうしてそう思うの?」
「さあね」ハリーは肩をすくめた。
「だけど、僕がシリウスの名前を言ったら、ほとんど泣きそうだった……それに、トンクスのいまの守しゅ護ご霊れいは、大きな動物なんだ……もしかしたら、守護霊が変わったんじゃないかな……ほら……シリウスに」
「一理いちりあるわ」ハーマイオニーが考えながら言った。
「でも、突然、城に飛び込んできた理由がまだわからないわ。もし本当にダンブルドアに会いにきたのだとしたら……」
「結局、僕の言ったことに戻もどるわけだろ?」
ロンが、こんどはマッシュポテトを掻かっ込みながら言った。
「トンクスはちょっとおかしくなった。意い気く地じがない。女ってやつは――」
ロンは賢さかしげにハリーに向かって言った。
「あいつらは簡単に動揺どうようする」
「だけど――」
ハーマイオニーが、突然現実に戻ったように言った。
「女なら、誰かさんの鬼婆おにばばとか癒い師しの冗じょう談だんや、ミンビュラス・ミンブルトニアの冗談で、マダム・ロスメルタが笑ってくれなかったからといって、三十分もすねたりしないでしょうね」
ロンが顔をしかめた。