「ええ、ハリーが呪のろいを受けなかったのは、もちろんうれしいわ!」
ハーマイオニーは明らかに傷ついたようだった。
「でも、ジニー、セクタムセンプラの呪文がいい切り札だとは言えないわよ。結局ハリーはこんな目に遭あったじゃない! せっかくの試合に勝てるチャンスが、おかげでどうなったかを考えたら、私なら――」
「あら、いまさらクィディッチのことがわかるみたいな言い方をしないで」
ジニーがぴしゃりと言った。
「自分が面子めんつを失うだけよ」
ハリーもロンも目を見張った。ハーマイオニーとジニーは、これまでずっと、とても馬うまが合っていたのに、いまや二人とも腕組うでぐみし、互いにそっぽを向いて睨にらんでいる。ロンはそわそわとハリーを見て、それから適当てきとうな本をさっとつかんでその陰かげに顔を隠した。
その夜は、それから誰だれも互いに口をきかなかった。にもかかわらず、ハリーは、そんな気分になる資格しかくはないと思いながらも、急に信じられないほど陽気ようきになっていた。
しかし、うきうき気分は長くは続かなかった。次の日、スリザリンの嘲あざけりに耐えなければならなかったし、そればかりか仲間のグリフィンドール生の怒りも大変だった。なにしろ、寮りょうのキャプテンともあろう者が、シーズン最後の試合への、出場を禁じられるようなことをしでかしたというのが、どうにも気に入らなかったのだ。
ハーマイオニーには強気で言い張ったものの、土曜日の朝が来てみると、ハリーは、ロンやジニーやほかの選手たちと一いっ緒しょにクィディッチ競きょう技ぎ場じょうに行けるなら、世界中のフェリックス・フェリシスを、熨の斗しをつけて差し出してもいいほどの気持になっていた。みんながロゼットや帽子ぼうしを身につけ、旗やスカーフを振りながら、太陽の下に出ていくというのに、自分だけが大勢の流れに背を向け、石の階段を地ち下�class="title">