「ハーマイオニーは、魔法薬で、君が自分よりできるっていうのが、どうしても我慢がまんならないだけさ」ロンは「薬草ときのこ千種」をまた読みはじめながら言った。
「あの本を取り戻もどしたいって考える僕が、どうかしてると思うか?」
「思わないさ」
ロンが力強く言った。
「天才だよ。あのプリンスは。とにかく……ベゾアール石のヒントがなかったら……」
ロンは自分の喉のどを掻かき切る動作をした。
「生きてこんな話をすることができなかっただろ? そりゃ、君がマルフォイに使った呪じゅ文もんがすごいなんては言わないけど――」
「僕だって」ハリーは即座そくざに言った。
「だけど、マルフォイはちゃんと治なおったじゃないか? たちまち回復だ」
「うん」ハリーが言った。たしかにそのとおりだったが、やはり良心が痛んだ。
「スネイプのおかげでね……」
「君、また次の土曜日にスネイプの罰則ばっそくか?」ロンが聞いた。
「うん。そのあとの土曜日も、またそのあとの土曜日もだ」
ハリーはため息をついた。
「それに、今学期中に全部の箱をやり終えないと、来学年も続けるなんて臭わせはじめてる」
ただでさえジニーと過ごす時間が少ないのに、その上罰則で時間を取られるのが、特にうんざりだった。最近ハリーは、スネイプが実は承しょう知ちの上でそうしているのではないかと、しばしば疑うようになっていた。というのもスネイプが、せっかくの好よい天気なのにいろいろな楽しみを失うとは、などと独ひとり言ごとのようにちくちく呟つぶやきながら、毎回だんだんハリーの拘束こうそく時間を長くしていたからだ。
苦にがい思いを噛かみしめていたハリーは、ジミー・ピークスが急にそばに現れたのでビクッとした。ジミーは羊よう皮ひ紙しの巻紙まきがみを差し出していた。
「ありがとう、ジミー……あっ、ダンブルドアからだ!」
ハリーは巻紙を開いて目を走らせながら、興こう奮ふんして言った。
「できるだけ早く、校長室に来てほしいって!」
ハリーは、ロンと顔を見合わせた。
「おっどろきー」ロンが囁ささやくように言った。「もしかして……見つけたのかな……?」
「すぐ行ったほうがいいよね?」
ハリーは勢いよく立ち上がった。