「一緒に……先生と……?」
「もちろん、もしきみがそうしたければじゃが」
「もし僕が……」
そして、ハリーは、もともとどうしてダンブルドアの校長室に急いでいたかを思い出した。
「見つけたのですか? 分ぶん霊れい箱ばこを見つけたのですか?」
「そうじゃろうと思う」
怒りと恨うらみの心が、衝しょう撃げきと興こう奮ふんの気持と戦った。しばらくの間、ハリーは口がきけなかった。
「恐れを感じるのは当然じゃ」ダンブルドアが言った。
「怖こわくありません!」ハリーは即座そくざに答えた。
本当のことだった。恐きょう怖ふという感情だけはまったく感じていなかった。
「どの分霊箱ですか? どこにあるのですか?」
「どの分霊箱かは定かではない――ただし、蛇へびだけは除外じょがいできるじゃろう――ここから何キロも離れた海岸の洞どう窟くつに隠かくされているらしい。その洞窟がどこにあるかを、わしは長い間探しておった。トム・リドルが、かつて年に一度の孤こ児じ院いんの遠足で、二人の子供を脅おどした洞窟じゃ。憶おぼえておるかの?」
「はい」ハリーが答えた。「どんなふうに護まもられているのですか?」
「わからぬ。こうではないかと思うことはあるが、まったく間違うておるかもしれぬ」
ダンブルドアは躊ちゅう躇ちょしたが、やがてこう言った。
「ハリー、わしはきみに一緒に来てよいと言うた。そして、約束は守る。しかし、きみに警けい告こくしないのは大きな間違いじゃろう。今回はきわめて危険じゃ」
「僕、行きます」
ハリーはダンブルドアの言葉が終わらないうちに答えていた。スネイプへの怒りが沸騰ふっとうし、何か命がけの危険なことをしたいという願いが、この数分で十倍に膨ふくれ上がっていた。それがハリーの顔に顕あらわれたらしい。ダンブルドアは窓際まどぎわを離れ、銀色の眉根まゆねに微かすかに皺しわを寄せて、ハリーをさらにしっかりと見つめた。