するとダンブルドアは、ハリーが差し出しているのが解げ毒どく剤ざいであるかのように、従じゅう順じゅんに飲んだ。しかし、ゴブレットを飲み干したとたん、がっくりと膝ひざをつき、激しく震え出した。
「わしのせいじゃ。わしのせいじゃ」
ダンブルドアはすすり泣いた。
「やめさせてくれ。わしが悪かったのじゃ。ああ、どうかやめさせてくれ。わしはもう二度と、決して……」
「先生、これでやめさせられます」ハリーが言った。
七杯目の薬をダンブルドアの口に流し込みながら、ハリーは涙なみだ声ごえになっていた。
ダンブルドアは、目に見えない拷ごう問もん者しゃに囲まれているかのように、身を縮ちぢめはじめ、呻きながら手を振り回して、薬を満たしたゴブレットを、ハリーの震える手から払い落としそうになった。
「あの者たちを傷つけないでくれ、頼む。お願いだ。わしが悪かった。代わりにわしを傷つけてくれ……」
「さあ、これを飲んで。飲んで。大丈夫ですから」
ハリーが必死でそう言うと、ダンブルドアは目を固く閉じたままで、全身震ふるえてはいたが、再び従じゅう順じゅんに口を開いた。
こんどは、ダンブルドアは前のめりに倒れ、ハリーが九杯目を満たしているとき、拳こぶしで地面を叩たたきながら悲鳴を上げた。
「頼む。お願いだ。お願いだ。だめだ……それはだめだ。それはだめだ。わしが何でもするから……」
「先生、いいから飲んでください。飲んで……」
ダンブルドアは、渇かわきで死にかけている子供のように飲んだ。しかし、飲み終わるとまたしても、内臓に火がついたような叫さけび声を上げた。
「もうそれ以上は、お願いだ、もうそれ以上は……」
ハリーは十杯目の薬をすくい上げた。ゴブレットが水すい盆ぼんの底をこするのを感じた。
「もうすぐです。先生。これを飲んで。飲んでください……」