「あの有名なハリー・ポッターのこのざまを、見せてやりたいよ」ハリーは吐はき捨すてるように言った。花壇に肥ひ料りょうを撒まきながら、背中が痛み、汗は顔を滴したたり落ちた。
七時半、疲れ果はてたハリーの耳にやっとペチュニアおばさんの呼ぶ声が聞こえてきた。
「お入り 新聞の上を歩くんだよ」
ハリーは日ひ陰かげに入れるのがうれしくて、ピカピカに磨みがき上げられたキッチンに入った。冷れい蔵ぞう庫この上には今夜のデザートが載のっていた。たっぷりと山やま盛もりのホイップクリームと、スミレの砂さ糖とう漬づけだ。骨つきのローストポークがオーブンでジュージューと音を立てていた。
「早くお食べ メイソンさんたちがまもなくご到とう着ちゃくだよ」ペチュニアおばさんがぴしゃりと言った。指ゆび差さした先のテーブルの上に、パンが二ふた切きれとチーズが一ひと欠けら載っていた。おばさんはもうサーモンピンクのカクテル・ドレスに着き替がえていた。
ハリーは手を洗い、情なさけないような夕食を急いで飲み込こんだ。食べ終わるか終わらないうちにおばさんがさっさと皿を片づけてしまった。「早く 二階へ」
居い間まの前を通り過ぎる時、ドアの向こうに、蝶ちょうネクタイにディナー・ジャケットの正せい装そうに身を包んだ、おじさんとダドリーの姿がちらりと見えた。ハリーが二階に上がる途と中ちゅうの階段の踊おどり場に着いた時、玄げん関かんのベルが鳴り、バーノンおじさんのすさまじい顔が階段下に現れた。
「いいな、小こ僧ぞう――ちょっとでも音をたててみろ……」
ハリーは忍しのび足で自分の部屋にたどり着き、すっと中に入り、ドアを閉め、ベッドに倒れ込もうとした。
しかし―――ベッドには先客が座り込んでいた。