「言ったろう、僕じゃないって――でも話せば長いから、いまは説明できない。ねぇ、ホグワーツのみんなに、説明してくれないかな。おじさんたちが僕を監かん禁きんして学校に戻もどれないようにしてるって。当然、魔法を使って出ていくこともできないよ。そんなことしたら、魔法省は僕が三日間のうちに二回も魔法を使ったと思うだろ。だから――」
「ゴチャゴチャ言うなよ」ロンが言った。「僕たち君を家うちに連れていくつもりで来たんだ」
「だけど、魔法で僕を連れ出すことはできないだろ――」
「そんな必要ないよ。僕が誰と一緒に来たか、忘れちゃいませんか、だ」
ロンは運転席のほうを顎あごで指して、ニヤッと笑った。
フレッドがロープの端はしをハリーに放ほうってよこした。
「それを鉄格子に巻きつけろ」
「おじさんたちが目を覚ましたら、僕はおしまいだ」
ハリーが、ロープを鉄格子に堅かたく巻きつけながら言った。
「心配するな。下がって」フレッドがエンジンを吹ふかした。
ハリーは部屋の暗がりまで下がって、ヘドウィグの隣となりに立った。ヘドウィグは事の重大さがわかっているらしく、じっと静かにしていた。エンジンの音がだんだん大きくなり、突とつ然ぜんバキッという音とともに、鉄格子が窓からすっぽり外はずれた。フレッドはそのまま車を空中で直進させた。――ハリーが窓まど際ぎわに駆かけ戻もどって覗のぞくと、鉄てつ格ごう子しが地上すれすれでブラブラしているのが見えた。ロンが息を切らしながらそれを車の中まで引ひっ張ぱり上げた。ハリーは耳をそばだてたが、ダーズリー夫婦ふうふの寝しん室しつからは何の物音も聞こえなかった。
鉄格子がロンと一いっ緒しょに後こう部ぶ座ざ席せきに無事収まると、フレッドは車をバックさせて、できるだけハリーのいる窓際に近づけた。