「ハリー・ポッターがドビーを自由にしてくださった」近くの窓から月の光が射さし込こみ、ドビーの球ボールのような両りょう眼がんに映うつった。その目でしっかりとハリーを見つめ、しもべ妖精は甲かん高だかい声で言った。
「ハリー・ポッターが、ドビーを解かい放ほうしてくださった」
「ドビー、せめてこれぐらいしか、してあげられないけど」ハリーはにっこりした。
「ただ、もう僕ぼくの命を救すくおうなんて、二度としないって、約束してくれよ」
しもべ妖精の醜みにくい茶色の顔が、急にぱっくりと割われたように見え、歯の目立つ大きな口がほころんだ。
「ドビー、一つだけ聞きたいことがあるんだ」
ドビーが震ふるえる両手で片方の靴くつ下したを履はくのを見ながら、ハリーが言った。
「君は、『名前を呼んではいけないあの人』は今度のことにいっさい関係ないって言ったね。覚えてる それなら――」
「あれはヒントだったのでございます」
そんなことは明めい白はくだといわんばかりに、ドビーは目を見開いて言った。
「ドビーはあなたにヒントをさし上げました。闇やみの帝てい王おうは、名前を変える前でしたら、その名前を自由に呼んでかまわなかったわけですからね。おわかりでしょう」
「そんなことなの……」ハリーは力なく答えた。
「じゃ、僕、行かなくちゃ。宴えん会かいがあるし、友達のハーマイオニーも、もう目覚めてるはずだし……」
ドビーはハリーの胴どうのあたりに腕うでを回し、抱きしめた。
「ハリー・ポッターは、ドビーが考えていたよりずーっと偉い大だいでした」
ドビーはすすり泣きながら言った。
「さようなら、ハリー・ポッター」
そして、最後にもう一度パチッという大きな音を残し、ドビーは消えた。
“我只有一个问题,多比,”当多比用颤抖的手穿上哈利的袜子时,哈利说,“你曾经告诉我,这一切都与那个连名字都不能提的人无关,记得吗?可是—— ”