「パーシーのやつ、この夏休みの行動がどうも変だ」ジョージが眉まゆをひそめた。
「実じっ際さい、山ほど手紙を出してる。それに、部屋に閉じこもってる時間も半はん端ぱじゃない。……考えてもみろよ、監督生の金バッジを磨みがくったって、限げん度どがあるだろ……。フレッド、西に逸それすぎだぞ」
ジョージが計けい器き盤ばんのコンパスを指ゆび差さしながら言った。フレッドがハンドルを回した。
「じゃ、お父さんは、君たちがこの車を使ってること知ってるの」
ハリーは聞かなくても答えはわかっているような気がした。
「ン、いや」ロンが答えた。「パパは今夜仕事なんだ。僕ぼくたちが車を飛ばせたことを、ママが気づかないうちに車しゃ庫こに戻もどそうって仕し掛かけさ」
「お父さんは、魔ま法ほう省しょうでどういうお仕事なの」
「一番つまんないとこさ」とロン。「マグル製せい品ひん不ふ正せい使し用よう取とり締しまり局きょく」
「なに局だって」
「マグルの作ったものに魔法をかけることに関係があるんだ。つまり、それがマグルの店や家か庭ていに戻されたときの問題なんだけど。去年なんか、あるおばあさん魔女が死んで、持ってた紅こう茶ちゃセットが古ふる道どう具ぐ屋やに売りに出されたんだ。どこかのマグルのおばさんがそれを買って、家に持って帰って、友達にお茶を出そうとしたのさ。そしたら、ひどかったなあ。――パパは何週間も残ざん業ぎょうだったよ」
「いったい何が起こったの」
「お茶のポットが大暴れして、熱ねっ湯とうをそこいら中に噴ふき出して、そこにいた男の人なんか砂さ糖とうつまみの道具で鼻をつままれて、病院に担かつぎ込こまれてさ。パパはてんてこ舞まいだったよ。同じ局には、パパともう一人、パーキンズっていう年寄りきりいないんだから。二人して記き憶おくを消す呪じゅ文もんとかいろいろ揉もみ消し工作だよ……」
「だけど、君のパパって……この車とか……」
フレッドが声をあげて笑った。