食堂から悲ひ鳴めいがあがり、バーノンおじさんがキッチンに飛び込こんできた。そこにはハリーが、頭のてっぺんから足の先までペチュニアおばさんのデザートをかぶって、ショックで硬こう直ちょくして立っていた。
ひとまずは、バーノンおじさんがなんとかその場を取り繕つくろって、うまくいったように見えた。
「甥おいでしてね――ひどく精せい神しん不ふ安あん定ていで――この子は知らない人に会うと気が動どう転てんするので、二階に行かせておいたんですが……」
おじさんは呆ぼう然ぜんとしているメイソン夫ふ妻さいを「さあ、さあ」と食しょく堂どうに追い戻もどし、ハリーには、メイソン夫妻が帰ったあとで、虫の息になるまで鞭むちで打ってやると宣せん言げんし、それからモップを渡わたした。ペチュニアおばさんは、フリーザーの奥からアイスクリームを引ひっ張ぱり出してきた。ハリーは震ふるえが止まらないまま、キッチンの床をモップでこすりはじめた。
それでも、バーノンおじさんにはまだ商しょう談だん成せい立りつの可か能のう性せいがあった。――ふくろうのことさえなければ。
ペチュニアおばさんが、食後のミントチョコが入った箱をみんなに回していた時、巨大なふくろうが一羽、食堂の窓からバサーッと舞まい降おりて、メイソン夫ふ人じんの頭の上に手紙を落とし、またバサーッと飛び去っていった。メイソン夫人はギャーッと叫さけび声をあげ、ダーズリー一家は狂っている、と喚わめきながら飛び出していった。
――妻つまは鳥と名がつくものは、どんな形や大きさだろうと死ぬほど怖こわがる。いったい君たち、これは冗じょう談だんのつもりかね――メイソン氏しもダーズリー一家に文もん句くを言うだけ言うと出ていった。