「乗れよ」とロン。
「だけど、僕ぼくのホグワーツのもの……杖つえとか……箒ほうきとか……」
「どこにあるんだよ」
「階段下の物置に。鍵かぎが掛かかってるし、僕、この部屋から出られないし――」
「まかせとけ」ジョージが助手席から声をかけた。「ハリー、ちょっとどいてろよ」
フレッドとジョージがそーっと窓を乗り越えて、ハリーの部屋に入ってきた。
ジョージがなんでもない普通のヘアピンをポケットから取り出して鍵かぎ穴あなにねじ込こんだのを見て、ハリーは舌を巻まいた――この二人には、まったく負けるよな――。
「マグルの小こ技わざなんて、習うだけ時間のムダだってバカにする魔法使いが多いけど、知ってても損そんはないぜ。ちょっとトロいけどな」とフレッド。
カチャッと小さな音がして、ドアがハラリと開いた。
「それじゃ――僕たちはトランクを運び出す――君は部屋から必要なものをかたっぱしからかき集めて、ロンに渡してくれ」ジョージが囁ささやいた。
「一番下の階段に気をつけて。軋きしむから」
踊おどり場ばの暗がりに消えていく双ふた子ごの背中に向かって、ハリーが囁き返した。
ハリーは部屋の中を飛び回って持ち物をかき集め、窓の向こう側のロンに渡した。それからフレッドとジョージが重いトランクを持ち上げて階段を上ってくるのに手を貸かした。バーノンおじさんが咳せきをするのが聞こえた。
フーフー言いながら三人は、やっと踊り場までトランクを担かつぎ上げ、それからハリーの部屋を通って窓際に運んだ。フレッドが窓を乗り越えて車に戻り、ロンと一いっ緒しょにトランクを引っ張り、ハリーとジョージは部屋の中から押した。じりっじりっとトランクが窓の外に出ていった。
バーノンおじさんがまた咳をしている。