「ウーン、なんと言ったらいいかな」フレッドが答えた。「『屋や敷しきしもべ妖よう精せい』ってのは、それなりの魔ま力りょくがあるんだ。だけど、普通は主人の許しがないと使えない。ドビーのやつ、君がホグワーツに戻もどってこないようにするために、送り込こまれてきたんじゃないかな。誰かの悪い冗じょう談だんだ。学校で君に恨うらみを持ってるやつ、誰か思いつかないか」
「いる」ハリーとロンがすかさず同時に答えた。
「ドラコ・マルフォイ。あいつ、僕を憎にくんでる」ハリーが説明した。
「ドラコ・マルフォイだって」ジョージが振ふり返った。
「ルシウス・マルフォイの息むす子こじゃないのか」
「たぶんそうだ。ざらにある名前じゃないもの。だろ でも、どうして」とハリー。
「パパがそいつのこと話してるのを、聞いたことがある。『例のあの人』の大の信しん奉ぽう者しゃだったって」とジョージ。
「ところが、『例のあの人』が消えたとなると」今度はフレッドが前の席せきから首を伸ばして、ハリーを振り返りながら言った。「ルシウス・マルフォイときたら、戻ってくるなり、すべて本心じゃなかったって言ったそうだ。嘘八百さ――パパはやつが『例のあの人』の腹ふく心しんの部ぶ下かだったと思ってる」
ハリーは前にもマルフォイ一家のそんな噂うわさを聞いたことがあったし、噂を聞いてもとくに驚おどろきもしなかった。マルフォイを見ていると、ダーズリー家けのダドリーでさえ、親切で、思いやりがあって、感じやすい少年に思えるぐらいだ。
「マルフォイ家に『屋敷しもべ』がいるかどうか、僕知らないけど……」ハリーが言った。
「まあ、誰が主人かは知らないけど、魔法族の旧きゅう家かで、しかも金持ちだね」とフレッド。