「そうさ。親父おやじさんたら、マグルのことにはなんでも興きょう味み津しん々しんで、家うちの納な屋やなんか、マグルの物がいっぱい詰つまってる。親父はみんなバラバラにして、魔法をかけて、また組み立てるのさ。もし親父おやじが自分の家を抜き打ち調査したら、たちまち自分を逮たい捕ほしなくちゃ。お袋ふくろはそれで気が狂いそうさ」
「大通りが見えたぞ」ジョージがフロントガラスから下を覗のぞき込こんで言った。「十じっ分ぷんで着くな……よかった。もう夜が明けてきたし……」
東の地平線がほんのり桃色に染そまっていた。
フレッドが車の高度を下げ、ハリーの目に、畑や木こ立だちの茂しげみが黒っぽいパッチワークのように見えてきた。
「僕ぼくらの家は」ジョージが話しかけた。「オッタリー・セント・キャッチポールっていう村から少し外はずれたとこにあるんだ」
空飛ぶ車は徐じょ々じょに高度を下げた。木々の間から、真まっ赤かな曙しょ光こうが射さし込みはじめた。
「着地成功」
フレッドの言葉とともに、車は軽く地面を打ち、一いっ行こうは着ちゃく陸りくした。着陸地点は小さな庭のボロボロの車しゃ庫この脇わきだった。初めて、ハリーはロンの家を眺ながめた。
かつては大きな石造りの豚ぶた小屋だったかもしれない。あちらこちらに部屋をくっつけて、数すう階かい建だての家になったように見えた。くねくねと曲がっているし、まるで魔法で支ささえているようだったきっとそうだ、とハリーは思った。赤い屋根に煙えん突とつが四、五本、ちょこんと載のっかっていた。入口近くに看かん板ばんが少し傾いて立っていた。 隠かくれ穴あな と書いてある。玄げん関かんの戸の周まわりに、ゴム長がごた混まぜになって転ころがり、思いっきり錆さびついた大おお鍋なべが置いてある。丸々と太った茶色の鶏にわとりが数羽、庭で餌えさをついばんでいた。