「ねえ、母さん。わかってもらえると思うが、それをやった人は法律の許ゆるす範はん囲いでやっているんで。ただ、えー、その人はむしろ、えへん、奥さんに、なんだ、それ、ホントのことを……。法律というのは知ってのとおり、抜け穴があって……その車を飛ばすつもりがなければ、その車がたとえ飛ぶ能力を持っていたとしても、それだけでは――」
「アーサー・ウィーズリー。あなたが法律を作った時に、しっかりと抜け穴を書き込んだんでしょう」ウィーズリー夫人が声を張り上げた。
「あなたが、納な屋や一杯のマグルのガラクタにいたずらしたいから、だから、そうしたんでしょう 申し上げますが、ハリーが今け朝さ到とう着ちゃくしましたよ。あなたが飛ばすおつもりがないと言った車でね」
「ハリー」ウィーズリー氏はポカンとした。「どのハリーだね」
ぐるりと見み渡わたしてハリーを見つけると、ウィーズリー氏は飛び上がった。
「なんとまあ、ハリー・ポッター君かい よく来てくれた。ロンがいつも君のことを――」
「あなたの息むす子こたちが、昨さく夜やハリーの家まで車を飛ばしてまた戻もどってきたんです」
ウィーズリー夫ふ人じんは怒ど鳴なり続けた。
「何かおっしゃりたいことはありませんの。え」
「やったのか」ウィーズリー氏しはうずうずしていた。
「うまくいったのか つ、つまりだ――」
ウィーズリー夫人の目から火花が飛び散るのを見て、ウィーズリー氏は口ごもった。
「そ、それは、おまえたち、いかん――そりゃ、絶ぜっ対たいいかん……」
「二人にやらせとけばいい」
ウィーズリー夫人が大きな食用ガエルのように膨ふくれ上がったのを見て、ロンがハリーに囁ささやいた。
「来いよ。僕ぼくの部屋を見せよう」