「やっこさん、いったい何を考えてるんだか」フレッドが眉まゆをひそめながら言った。
「あいつらしくないんだ。君が到とう着ちゃくする前の日に、統とう一いつ試し験けんの結果が着いたんだけど、なんと、パーシーは十二学科とも全部パスして、『十二ふくろう』だったのに、にこりともしないんだぜ」
「『ふくろう』って、十五歳さいになったら受ける試験で、普ふ通つう魔ま法ほうレベル試験、つまり頭かしら文も字じを取ってふくろうのことさ」
ハリーがわかっていない顔をしたので、ジョージが説明した。
「ビルも十二だったな。へたすると、この家からもう一人首しゅ席せきが出てしまうぞ。俺おれはそんな恥はじには耐たえられないぜ」
ビルはウィーズリー家けの長男だった。ビルも次男のチャーリーもホグワーツを卒業している。ハリーは、二人にまだ会ったことはなかったが、チャーリーがルーマニアにいてドラゴンの研けん究きゅうをしていること、ビルがエジプトにいて魔法使いの銀行、グリンゴッツで働いていることは知っていた。
「パパもママもどうやって学用品を揃そろえるお金を工く面めんするのかな」
しばらくしてからジョージが言った。
「ロックハートの本を五人分もだぜ ジニーだってローブやら杖つえやら必要だし……」
ハリーは黙だまっていた。少し居い心ごこ地ちが悪い思いがした。ロンドンにあるグリンゴッツの地下金きん庫こに、ハリーの両親が残してくれたかなりの財ざい産さんが預あずけられていた。もちろん、魔法界だけでしか通用しない財産だ。ガリオンだのシックルだのクヌートだの、マグルの店では使えはしない。グリンゴッツ銀行のことを、ハリーは一度もダーズリー一家に話してはいない。ダーズリーたちは魔法と名がつくものは、何もかも恐れていたが、山やま積づみの金きん貨かともなれば話は別だろうから。