今度はウィーズリーおばさんが飛び跳はねるように走ってくるのが見えた。片手にぶら下げたハンドバッグが右に左に大きく揺ゆれ、もう一つの手にはジニーが、やっとの思いでぶら下がっている。
「あぁ、ハリー――おぉ、ハリー――とんでもない所に行ったんじゃないかと思うと……」
息を切らしながら、おばさんはハンドバッグから大きなはたきを取り出し、ハグリッドが叩たたき出しきれなかった煤すすを払はらいはじめた。ウィーズリーおじさんが壊こわれたメガネを取り上げ、杖つえで軽くひと叩きすると、メガネは新しん品ぴん同どう様ようになった。
「さあ、もう行かにゃならん」ハグリッドが言った。
その手をウィーズリーおばさんがしっかり握にぎりしめていた「『夜の闇ノクターン横よこ丁ちょう』ハグリッド、あなたがハリーを見つけてくださらなかったら」。
「みんな、ホグワーツで、またな」
ハグリッドは大おお股またで去っていった。人ひと波なみの中で、ひときわ高く、頭と肩が聳そびえていた。
「『ボージン・アンド・バークス』の店で誰に会ったと思う」
グリンゴッツの階段を上りながら、ハリーがロンとハーマイオニーに問いかけた。
「マルフォイと父親なんだ」
「ルシウス・マルフォイは、何か買ったのかね」
後ろからウィーズリーおじさんが厳きびしい声をあげた。
「いいえ、売ってました」
「それじゃ、心配になったわけだ」ウィーズリーおじさんが真ま顔がおで満足気に言った。
「あぁ、ルシウス・マルフォイの尻しっ尾ぽをつかみたいものだ……」
「アーサー、気をつけないと」
ウィーズリーおばさんが厳しく言った。ちょうど、小こ鬼おにがお辞じ儀ぎをして、銀行の中に一いっ行こうを招しょうじ入れるところだった。