「もう新学期の歓かん迎げい会かいは始まってると思うな」
扉の前の階段下で、トランクをドサッと下ろし、ロンはそう言いながら、こっそり横のほうに移い動どうし、明るく輝かがやく窓を覗のぞき込こんだ。
「あっ、ハリー、来て。見てごらんよ――組くみ分わけ帽ぼう子しだ」
ハリーが駆かけ寄り、二人で大おお広ひろ間まを覗き込んだ。
四つの長テーブルの周まわりにびっしりとみんなが座り、その上に数え切れないほどの蝋ろう燭そくが宙ちゅうに浮うかんで、金の皿やゴブレットをキラキラ輝かがやかせていた。天てん井じょうはいつものように魔法で本物の空を映うつし、星が瞬またたいていた。
ホグワーツ生せいの黒い尖とんがり帽子が立ち並ぶその隙すき間まから、おずおずと行列して大広間に入ってくる一年生の長い列が見えた。ジニーはすぐ見つかった。ウィーズリー家けの燃えるような赤あか毛げが目立つからだ。新入生の前で、かの有名な組分け帽子を丸い椅い子すの上に置いているのは、魔女のマクゴナガル先生だ。メガネを掛かけ、髪かみを後ろできつく束たばね、髷まげにしている。
つぎはぎだらけで、すり切れ、薄うす汚よごれた年代物のこの古帽子が、毎年新入生をホグワーツの四つの寮りょうに組分けするグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。ちょうど一年前、帽子をかぶった時のことをハリーはありありと覚えている。耳のそばで低い声で帽子がつぶやいている間、ハリーは石のように強こわばって帽子の判はん決けつを待っていた。スリザリンに入れられるのではないかと、一いっ瞬しゅんハリーは恐ろしい思いがした。スリザリンの卒業生の中から、他のどの寮より多くの闇やみの魔法使い、魔女が出ている。――結局、ハリーはグリフィンドールに入った。ロン、ハーマイオニー、ウィーズリー兄弟もみな同じ寮だ。一年生の時、ハリーとロンの活かつ躍やくで、グリフィンドールはスリザリンを七年ぶりに破って、寮りょう対たい抗こう杯はいを勝ち取った。