「おまえたちは見られていた」
スネイプは新聞の見出しを示して、押し殺した声で言った。
「空飛ぶフォード・アングリア、訝いぶかるマグル」
スネイプが読み上げた。
「ロンドンで、二人のマグルが、郵ゆう便びん局きょくのタワーの上を中ちゅう古このアングリアが飛んでいるのを見たと断だん言げんした……今日昼ごろ、ノーフォークのへティ・ベイリス夫人は、洗せん濯たく物ものを干ほしている時……ピーブルズのアンガス・フリート氏しは警けい察さつに通つう報ほうした……全部で六、七人のマグルが……。たしか、君の父親はマグル製せい品ひん不ふ正せい使し用よう取とり締しまり局きょくにお勤つとめでしたな」
スネイプは顔を上げてロンに向かって一段と意い地じ悪わるくほくそ笑えんだ。
「なんと、なんと……捕とらえてみればわが子なり……」
ハリーは、あの狂きょう暴ぼうな木の大きめの枝で、胃い袋ぶくろを打ちのめされたような気がした。ウィーズリーおじさんがあの車に魔法をかけたことが誰かに知れたら……考えてもみなかった……。
「我わが輩はいが庭を調査したところによれば、非常に貴き重ちょうな『暴あばれ柳やなぎ』が、相当な被ひ害がいを受けたようである」スネイプはねちねち続けた。
「あの木より、僕たちのほうがもっと被ひ害がいを受けました――」ロンが思わず言った。
「黙だまらんか」スネイプがバシッと言った。
「まことに残ざん念ねん至し極ごくだが、おまえたちは我わが輩はいの寮りょうではないからして、二人の退たい校こう処しょ分ぶんは我輩の決定するところではない。これからその幸運な決けっ定てい権けんを持つ人物たちを連れてくる。二人とも、ここで待て」