「さあ、それでは」ロックハートが声を張はりあげ、「君たちがピクシーをどう扱うかやってみましょう」と、籠の戸を開けた。
上を下への大おお騒さわぎ。ピクシーはロケットのように四し方ほう八はっ方ぽうに飛び散ちった。二匹がネビルの両耳を引っ張って空中に吊つり上げた。数匹が窓ガラスを突き破って飛び出し、後ろの席せきの生徒にガラスの破は片へんの雨を浴あびせた。教室に残ったピクシーたちの破は壊かい力りょくときたら、暴ぼう走そうするサイよりすごい。インク瓶びんをひっつかみ、教室中にインクを振ふり撒まくわ、本やノートを引き裂さくわ、壁かべから写真を引っぺがすわ、ごみ箱は引っくり返すわ、本やカバンを奪うばって破れた窓から外に放ほうり投げるわ――数分後、クラスの生徒の半分は机の下に避ひ難なんし、ネビルは天てん井じょうのシャンデリアからぶら下がって揺ゆれていた。
「さあ、さあ。捕つかまえなさい。捕まえなさいよ。たかがピクシーでしょう……」
ロックハートが叫んだ。
ロックハートは腕うでまくりして杖つえを振ふり上げ、「ペスキピクシペステルノミ ピクシー虫よ去れ」と大声を出した。
何の効こう果かもない。ピクシーが一匹、ロックハートの杖を奪うばって、これも窓の外へ放り投げた。ロックハートはヒェッと息を呑のみ、自分の机の下に潜もぐり込んだ。一秒遅おそかったら、天井からシャンデリアごと落ちてきたネビルに危あやうく押しつぶされるところだった。
終しゅう業ぎょうのベルが鳴り、みんなわっと出口に押しかけた。それが少し収おさまったころ、ロックハートが立ち上がり、ちょうど教室から出ようとしていたハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけて呼びかけた。