「これも新しい練習計画の一部だ。さあ、箒ほうきを持て。行くぞ」ウッドが威い勢せいよく言った。
「ほかのチームはまだどこも練習を開始していない。今年は我われ々われが一番乗りだ……」
欠伸あくびと一緒に、少し身み震ぶるいしながら、ハリーはベッドから降おりて、クィディッチ用のローブを探した。
「それでこそ男だ。十五分後に競きょう技ぎ場じょうで会おう」とウッドが言った。
チームのユニフォーム、深しん紅くのローブを探し出し、寒いのでその上にマントを着た。ロンに走り書きで行き先を告つげるメモを残し、ハリーはニンバスを肩に、螺ら旋せん階かい段だんを下り、談だん話わ室しつへ向かった。肖しょう像ぞう画がの穴に着いたその時、後ろでガタガタ音がしたかと思うと、コリン・クリービーが、螺旋階段を転ころがるように駆かけ下りてきた。首からかけたカメラがブランブラン大きく揺ゆれ、手には何かを握にぎりしめていた。
「階段のところで誰かが君の名前を呼ぶのが聞こえたんだ。ハリー これ、何だかわかる現げん像ぞうしたんだ。君にこれ、見せたくて――」
コリンが得とく意いげにひらひらさせている写真を、ハリーは何だかわからないままに覗のぞいた。
白黒写真のロックハートが、誰かの腕うでをぐいぐい引ひっ張ぱっている。ハリーはそれが自分の腕だとわかった。写真のハリーがなかなかがんばって、画面に引ひき込こまれまいと抵てい抗こうしているのを見て、ハリーはうれしくなった。ハリーが写真を見ているうちに、ロックハートはついに諦あきらめ、ハァハァ息を切らしながら、写真の白しろ枠わくにもたれてへたり込んだ。
「これにサインしてくれる」コリンが拝おがむように言った。
「だめ」
即そく座ざに断ことわりながら、ハリーはあたりを見回し、ほんとうに誰も談だん話わ室しつにいないかどうか確たしかめた。
「ごめんね、コリン。急ぐんだ――クィディッチの練習で」