「少なくとも、グリフィンドールの選手は、誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ。こっちは純じゅん粋すいに才さい能のうで選手になったのよ」ハーマイオニーがきっぱりと言った。
マルフォイの自じ慢まん顔がおがちらりと歪ゆがんだ。
「誰もおまえの意見なんか求めてない。生まれ損そこないの『穢けがれた血ち』め」
マルフォイが吐はき捨すてるように言い返した。
とたんに轟ごう々ごうと声があがったので、マルフォイがひどい悪あく態たいをついたらしいことは、ハリーにもすぐわかった。フレッドとジョージはマルフォイに飛びかかろうとしたし、それを食い止めるため、フリントが急いでマルフォイの前に立ちはだかった。
アリシアは「よくもそんなことを」と金かな切きり声をあげた。ロンはローブに手を突っ込こみ、ポケットから杖つえを取り出し、「マルフォイ、思い知れ」と叫さけんで、カンカンになってフリントの脇わきの下からマルフォイの顔に向かって杖を突きつけた。
バーンという大きな音が競きょう技ぎ場じょう中にこだまし、緑の閃せん光こうが、ロンの杖先ではなく反対側から飛び出して、ロンの胃のあたりに当たった。ロンはよろめいて芝しば生ふの上に尻しりもちをついた。
「ロン ロン 大だい丈じょう夫ぶ」ハーマイオニーが悲ひ鳴めいをあげた。
ロンは口を開いたが、言葉が出てこない。代わりにとてつもないゲップが一発と、ナメクジが数匹ボタボタと膝ひざにこぼれ落ちた。
スリザリン・チームは笑い転ころげた。フリントなど、新品の箒ほうきにすがって腹をよじって笑い、マルフォイは四つん這ばいになり、拳こぶしで地面を叩たたきながら笑っていた。グリフィンドールの仲なか間まは、ヌメヌメ光る大ナメクジを次々と吐はき出しているロンの周まわりに集まりはしたが、誰もロンに触ふれたくはないようだった。
「ハグリッドのところに連れていこう。一番近いし」
ハリーがハーマイオニーに呼びかけた。ハーマイオニーは勇ゆう敢かんにもうなずき、二人でロンの両側から腕うでをつかんで助け起こした。