ピーブズはこの学校のポルターガイストだ。ニヤニヤしながら空中を漂ただよい、大おお騒さわぎを引き起こしたり、みんなを困らせるのを生き甲が斐いにしている厄やっ介かい者ものだった。ハリーはピーブズが好きではなかったが、いまはそのタイミングのよさに感かん謝しゃしないわけにはいかなかった。ピーブズが何をしでかしたにせよあの音では今度は何かとても大きな物を壊こわしたようだ、フィルチがそちらに気を取られて、ハリーのことを忘れてくれるかもしれない。
フィルチが戻もどるまで待たなきゃいけないだろうな、と思いながら、ハリーは机の脇わきにあった虫食いだらけの椅い子すにドサッと腰こし掛かけた。机の上には書きかけのハリーの書しょ類るいの他に、もう一つ何かが置いてあった。大きな、紫むらさき色いろの光こう沢たくのある封ふう筒とうで、表に銀ぎん文も字じで何か書いてある。ドアをちらりと見て、フィルチが戻もどってこないことを確たしかめてから、ハリーは封筒を取り上げて文字を読んだ。
興きょう味みをそそられて、ハリーは封筒を指でポンと弾はじいて開け、中から羊よう皮ひ紙しの束たばを取り出した。最初のページには、丸みのある銀文字でこう書いてあった。
現代魔法の世界についていけないと、感じていませんか
簡かん単たんな呪じゅ文もんもかけられないことで、言い訳わけに苦労していませんか
杖つえの使い方がなっていないと、冷ひやかされたことはありませんか
お任まかせください
クイックスペルはまったく新しい、誰にでもできる、すぐに効こう果かが上がる、楽な学習コースです。何百人という魔法使いや魔女がクイックスペル学習法に感謝しています
トップシャムのマダム・・ネットルズのお手紙
「私は呪文がまったく覚えられず、私の魔ま法ほう薬やくは家いえ中じゅうの笑い者でした。でも、クイックスペル・コースを終えたあとは、パーティの花はな形がたはこの私 友人が発はっ光こう液えきの作り方を教えてくれと拝おがむようにして頼むのです」
ディズベリーの・・プロッド魔ま法ほう戦せん士しのお手紙
「妻つまは私の魔法呪じゅ文もんが弱よわ々よわしいと嘲あざ笑わらっていました。でも、貴き校こうのすばらしいコースを一ヵ月受けた後のち、見み事ごと、妻をヤクに変えてしまいました クイックスペル、ありがとう」