ハリーがやっと着き替がえをすませ、談だん話わ室しつでロンやハーマイオニーにその話をすると、ハーマイオニーは夢む中ちゅうになった。
「絶ぜつ命めい日びパーティですって 生きているうちに招まねかれた人って、そんなに多くないはずだわ――おもしろそう」
「自分の死んだ日を祝いわうなんて、どういうわけ」
ロンは「魔ま法ほう薬やく」の宿しゅく題だいが半分しか終わっていないので機き嫌げんが悪かった。
「死ぬほど落ち込こみそうじゃないか……」
雨は相あい変かわらず窓を打ち、外は墨すみのように暗くなっていた。しかし談話室は明るく、楽しさで満ちていた。暖だん炉ろの火がいくつもの座り心ごこ地ちのよい肱ひじ掛かけ椅い子すを照らし、生徒たちはそれぞれに読書したり、おしゃべりしたり、宿題をしたりしていた。フレッドとジョージは、火トカゲに「フィリバスターの長なが々なが花はな火び」を食べさせたら、どういうことになるか試ためしていた。
フレッドは「魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく」のクラスから、火の中に住む、燃えるようなオレンジ色の火トカゲを「助け出して」きたのだという。火トカゲは、好こう奇き心しん満まん々まんの生徒たちに囲まれてテーブルの上で、いまは静かにくすぶっていた。
ハリーはロンとハーマイオニーに、フィルチとクイックスペル・コースのことを話そうとした。そのとたん、火トカゲが急にヒュッと空中に飛び上がり、派は手でに火花を散らし、バンバン大きな音をたてながら、部屋中を猛もう烈れつな勢いきおいでぐるぐる回りはじめた。パーシーは声を嗄からしてフレッドとジョージを怒ど鳴なりつけ、火トカゲの口からは滝のように橙だいだい色いろの星が流れ出してすばらしい眺ながめになり、トカゲが爆ばく発はつ音おんとともに暖だん炉ろの火の中に逃げ込み、なんだかんだで、フィルチのこともクィックスペルの封ふう筒とうのことも、ハリーの頭から吹ふっ飛とんでしまった。