ハロウィーンが近づくにつれ、ハリーは絶命日パーティに出席するなどと、軽けい率そつに約束してしまったことを後こう悔かいしはじめた。他の生徒たちはハロウィーン・パーティを楽しみに待っていた。大おお広ひろ間まはいつものように生きたコウモリで飾かざられ、ハグリッドの巨大かぼちゃはくり抜かれて、中に大人おとな三人が十分座れるぐらい大きな提ちょう灯ちんになった。ダンブルドア校長がパーティの余よ興きょう用に「骸がい骨こつ舞ぶ踏とう団だん」を予よ約やくしたとの噂うわさも流れた。
「約束は約束でしょ」ハーマイオニーは命令口く調ちょうでハリーに言った。
「絶命日パーティに行くって、あなたそう言ったんだから」
そんなわけで、七時になるとハリー、ロン、ハーマイオニーの三人は、金の皿やキャンドルの吸すい寄せるような輝かがやきや、大入り満まん員いんの大広間のドアの前を素す通どおりし、みんなとは違って、地ち下か牢ろうのほうへと足を向けた。
「ほとんど首くび無なしニック」のパーティへと続く道みち筋すじにも、キャンドルが立ち並んではいたが、とても楽しいムードとは言えなかった。ひょろりと長い、真っ黒な細ほそ蝋ろう燭そくが真まっ青さおな炎ほのおを上げ、生きている三人の顔にさえ、仄ほの暗い幽かすかな光を投げかけていた。階段を一段下りるたびに温度が下がった。ハリーが身み震ぶるいし、ローブを体にぴったり巻きつけた時、巨大な黒板を千本の生なま爪づめで引ひっ掻かくような音が聞こえてきた。
「あれが音楽のつもり」ロンが囁ささやいた。角を曲がると「ほとんど首くび無なしニック」がビロードの黒くろ幕まくを垂たらした戸口のところに立っているのが見えた。
「親しん愛あいなる友よ」ニックが悲しげに挨あい拶さつした。
「これは、これは……このたびは、よくぞおいでくださいました……」
ニックは羽はね飾かざりの帽ぼう子しをさっと脱ぬいで、三人を中に招まねき入れるようにお辞じ儀ぎをした。