「デザートがまだ残っているかもしれない」
玄げん関かんホールに出る階段への道を、先頭を切って歩きながら、ロンが祈いのるように言った。
その時、ハリーはあの声を聞いた。
「……引き裂さいてやる……八やつ裂ざきにしてやる……殺してやる……」
あの声と同じだ。ロックハートの部屋で聞いたと同じ、冷たい、残ざん忍にんな声。
ハリーはよろよろとして立ち止まり、石の壁かべにすがって、全身を耳にして声を聞いた。そして、仄ほの暗ぐらい灯あかりに照らされた通路の隅すみから隅まで、目を細めてじっと見回した。
「ハリー、いったい何を……」
「またあの声なんだ。――ちょっと黙だまってて――」
「……腹がへったぞー……こんなに長ーい間……」
「ほら、聞こえる」ハリーが急せき込こんで言った。ロンとハーマイオニーはハリーを見つめ、その場に凍こおりついたようになった。
「…&