「どっかあの辺へんだよ」ロンは書しょ棚だなのあたりを指ゆび差さした。
「また別の本を探してる。あいつ、クリスマスまでに図書室中の本を全部読んでしまうつもりじゃないか」
ハリーはロンに、ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーが逃げていったことを話した。
「なんでそんなこと気にするんだい。僕ぼく、あいつ、ちょっと間ま抜ぬけだって思ってたよ」
ロンはできるだけ大きい字で宿題を書きなぐりながら言った。
「だってロックハートが偉い大だいだとか、バカバカしいことを言ってたじゃないか……」
ハーマイオニーが書棚と書棚の間からひょいと現れた。イライラしているようだったが、やっと二人と話す気になったらしい。
「『ホグワーツの歴れき史し』が全部貸かし出されてるの」
ハーマイオニーは、ロンとハリーの隣となりに腰こし掛かけた。
「しかも、あと二週間は予よ約やくで一いっ杯ぱい。私のを家に置いてこなけりゃよかった。残念。でも、ロックハートの本で一杯だったから、トランクに入りきらなかったの」
「どうしてその本がほしいの」ハリーが聞いた。
「みんなが借かりたがっている理由と同じよ。『秘ひ密みつの部へ屋や』の伝でん説せつを調べたいの」
「それ、なんなの」ハリーは急せき込こんだ。
「まさに、その疑ぎ問もんよ。それがどうしても思い出せないの」ハーマイオニーは唇くちびるを噛かんだ。
「しかもほかのどの本にも書いてないの――」
「ハーマイオニー、君の作文見せて」
ロンが時計を見ながら絶ぜつ望ぼう的てきな声を出した。
「だめ。見せられない」ハーマイオニーは急に厳きびしくなった。
「提てい出しゅつまでに十日もあったじゃない」
「あとたった六センチなんだけどなぁ。いいよ、いいよ……」
ベルが鳴った。ロンとハーマイオニーはハリーの先に立って、二人で口ゲンカしながら「魔ま法ほう史し」のクラスに向かった。