「クラスの子があなたのこと、なんて言ってたのかしら」ハーマイオニーが訝いぶかった。
「僕がスリザリンの継けい承しょう者しゃだとか言ってたんだろ」
昼ちゅう食しょくの時、ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーが、ハリーから逃げていった様よう子すを急に思い出して、ハリーはまた数センチ胃が落ち込むような気がした。
「ここの連れん中ちゅうときたら、何でも信じ込むんだから」ロンが吐はき捨すてるように言った。
混こん雑ざつも一いち段だん落らくして、三人は楽に次の階段を上ることができた。
「『秘ひ密みつの部へ屋や』があるって、君、本当にそう思う」
ロンがハーマイオニーに問いかけた。
「わからないけど」ハーマイオニーは眉まゆ根ねにしわを寄せた。
「ダンブルドアがミセス・ノリスを治なおしてやれなかった。ということは、私、考えたんだけど、猫ねこを襲おそったのは、もしかしたら――ウーン――ヒトじゃないかもしれない」
ハーマイオニーがそう言った時、三人はちょうど角を曲がり、ずばりあの事件があった廊ろう下かの端はしに出た。三人は立ち止まって、あたりを見回した。現場はちょうど、あの夜と同じようだった。松明たいまつの腕うで木ぎに硬こう直ちょくした猫がぶら下がっていないことと、壁かべを背に椅い子すがぽつんと置かれていることだけが、あの夜とは違っている。壁には「秘ひ密みつの部へ屋やは開かれたり」と書かれたままだ。
「あそこ、フィルチが見張ってるとこだ」ロンがつぶやいた。
廊下には人ひとっ子こ一人いない。三人は顔を見合わせた。
「ちょっと調べたって悪くないだろ」
ハリーはカバンを放ほうり出し、四つん這ばいになって、何か手て掛がかりはないかと探し回った。