「そこは女子トイレだ」パーシーが息を呑のんだ。
「君たち男子が、いったい何を――」
「ちょっと探してただけだよ」ロンが肩をすぼめて、何でもないという身み振ぶりをした。
「ほら、手て掛がかりをね……」
パーシーは体を膨ふくらませた。ハリーはそれがウィーズリーおばさんそっくりだと思った。
「そこ――から――とっとと――離はなれるんだ」
パーシーは大おお股またで近づいてきて、腕うでを振ふって三人をそこから追い立てはじめた。
「人が見たらどう思うかわからないのか みんなが夕食の席せきに着いているのに、またここに戻もどってくるなんて……」
「なんで僕ぼくたちがここにいちゃいけないんだよ」
ロンが熱くなった。急に立ち止まり、パーシーを睨にらみつけた。
「いいかい。僕たち、あの猫ねこに指一本触ふれてないんだぞ」
「僕もジニーにそう言ってやったよ」パーシーも語ご気きを強めた。
「だけど、あの子は、それでも君たちが退たい学がく処しょ分ぶんになると思ってる。あんなに心を痛めて、目を泣き腫はらしてるジニーを見るのは初めてだ。少しはあの子のことも考えてやれ。一年生はみんな、この事件で神しん経けいをすり減らしてるんだ――」
「兄さんはジニーのことを心配してるんじゃない」ロンの耳がいまや真まっ赤かになりつつあった。「兄さんが心配してるのは、首しゅ席せきになるチャンスを、僕が台だい無なしにするってことなんだ」
「グリフィンドール、五点減げん点てん」
パーシーは監かん督とく生せいバッジを指でいじりながらパシッと言った。
「これでおまえにはいい薬になるだろう。探たん偵ていごっこはもうやめにしろ。さもないとママに手紙を書くぞ」
パーシーは大おお股またで歩き去ったが、その首くび筋すじはロンの耳に負けず劣らず真っ赤だった。