「これ、私が持っていてもいいでしょうか」息を弾はずませ、ハーマイオニーが頼んだ。
「やめろよ」ハーマイオニーがしっかりつかんだ紙を、ロンがむしり取ってマダム・ピンスに差し出した。
「サインならまたもらってあげるよ。ロックハートときたら、サインする間だけ動かないでじっとしてる物なら、何にでもサインするよ」
マダム・ピンスは、偽にせ物ものなら何がなんでも見み破やぶってやるというように、紙を明りに透すかして見た。しかし、検けん査さは無事通つう過かだった。見上げるような書しょ棚だなの間を、マダム・ピンスはつんとして闊かっ歩ぽし、数分後には大きな黴かび臭くさそうな本を持ってきた。ハーマイオニーが大切そうにそれをカバンに入れ、三人は、あまり慌あわてた歩き方に見えないよう、後ろめたそうに見えないよう気をつけながら、その場を離はなれた。
五分後、三人は「嘆なげきのマートル」の「故こ障しょう中ちゅう」のトイレに再び立てこもっていた。ハーマイオニーがロンの異い議ぎを却下きゃっかしたのだ。――まともな神�