「あったわ」ハーマイオニーが興こう奮ふんした顔で「ポリジュース薬やく」という題のついたページを指した。そこには他人に変へん身しんしていく途と中ちゅうのイラストがあった。挿絵の表情がとても痛そうだった。画家がそんなふうに想そう像ぞうしただけでありますように、とハリーは心から願った。
「こんなに複ふく雑ざつな魔法薬は、初めてお目にかかるわ」
三人で薬の材料にざっと目を通しながら、ハーマイオニーが言った。
「クサカゲロウ、ヒル、満まん月げつ草そうにニワヤナギ」ハーマイオニーは、材料のリストを指で追いながらブツブツ独ひとり言ごとを言った。
「ウン、こんなのは簡単ね。生徒用の材料棚にあるから、自分で勝手に取れるわ。ウーッ、見てよ。二に角かく獣じゅうの角つのの粉ふん末まつ――これ、どこで手に入れたらいいかわからないわ。……毒どくツルヘビの皮の千せん切ぎり――これも難むずかしいわね。――それに、当然だけど、変身したい相手の一部」
「なんだって」ロンが鋭するどく聞いた。
「どういう意味 変身したい相手の一部って。僕ぼく、クラッブの足の爪つめなんか入ってたら、絶対飲まないからね」
ハーマイオニーは何にも聞こえなかったかのように話し続けた。
「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に入れればいいんだから……」
ロンは絶ぜっ句くしてハリーのほうを見たが、ハリーは別なことを心配していた。
「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗ぬすまなきゃならないか、わかってる 毒ツルヘビの皮の千切りなんて、生徒用の棚には絶対にあるはずないし。どうするの スネイプの個人用の保ほ管かん倉そう庫こに盗ぬすみに入るの うまくいかないような気がする……」
ハーマイオニーは本をピシャッと閉じた。