土曜日の朝、ハリーは早はや々ばやと目が覚めて、しばらく横になったまま、これからのクィディッチ試じ合あいのことを考えていた。グリフィンドールが負けたら、ウッドが何と言うか、それが一番心配だったが、その上、金にものをいわせて買った、競きょう技ぎ用よう最さい高こう速そく度どの箒にまたがったチームと対たい戦せんするかと思うと落ち着かなかった。スリザリンを負かしてやりたいと、いまほど強く願ったことはなかった。腸はらわたが捻ねじれるような思いで小こ一時間横になっていたが、起きだし、服を着て早めの朝食に下りていった。グリフィンドール・チームの他の選手もすでに来ていて、他には誰もいない長テーブルに塊かたまって座っていた。みんな緊きん張ちょうした面おも持もちで、口数も少なかった。
十一時が近づき、学校中がクィディッチ競きょう技ぎ場じょうへと向かいはじめた。なんだか蒸むし暑あつく、雷かみなりでも来そうな気配が漂ただよっていた。ハリーが更こう衣い室しつに入ろうとすると、ロンとハーマイオニーが急いでやってきて「幸運を祈いのる」と元気づけた。選手はグリフィンドールの真しん紅くのユニフォームに着き替がえ、座って、お定さだまりのウッドの激げき励れい演えん説ぜつを聞いた。
「スリザリンには我われ々われより優すぐれた箒がある」ウッドの第一声だ。
「それは、否ひ定ていすべくもない。しかしだ、我々の箒にはより優れた乗り手がいる。我々は敵てきより厳きびしい訓くん練れんをしてきた。我われ々われはどんな天てん候こうでも空を飛んだ――」
「まったくだ」ジョージ・ウィーズリーがつぶやいた。「八月からずっと、俺おれなんかちゃんと乾かわいてたためしがないぜ」
「――そして、あの小こ賢ざかしいねちねち野郎のマルフォイが、金の力でチームに入るのを許したその日を、連れん中ちゅうに後こう悔かいさせてやるんだ」
感かん極きわまって胸を波なみ打うたせながら、ウッドはハリーのほうを向いた。