「ハリー、君次し第だいだぞ。シーカーの資し格かくは、金持ちの父親だけではだめなんだと、目にもの見せてやれ。マルフォイより先にスニッチをつかめ。然しからずんば死あるのみだ、ハリー。なぜならば、我々は今日は勝たねばならないのだ。何がなんでも」
「だからこそ、プレッシャーを感じるなよ、ハリー」フレッドがハリーにウィンクした。
グリフィンドール選手がグラウンドに入場すると、ワーッというどよめきが起こった。ほとんどが声せい援えんだった。レイブンクローもハッフルパフも、スリザリンが負けるところを見たくてたまらないのだ。それでもその群ぐん衆しゅうの中から、スリザリン生のブーイングや野や次じもしっかり聞こえた。クィディッチを教えるマダム・フーチが、フリントとウッドに握あく手しゅするよう指示した。二人は握手したが互いに威い嚇かくするように睨にらみ合い、必要以上に固く相手の手を握にぎりしめた。
「笛ふえが鳴ったら開始」マダム・フーチが合あい図ずした。「いち――に――さん」
観かん客きゃくのワーッという声に煽あおられるように、十四人の選手が鉛なまり色いろの空に高々と飛ひ翔しょうした。ハリーは誰よりも高く舞まい上がり、スニッチを探して四方に目を凝こらした。
「調子はどうだい 傷きずモノ君」
マルフォイが箒ほうきのスピードを見せつけるように、ハリーのすぐ下を飛び去りながら叫さけんだ。
ハリーは答える余よ裕ゆうがなかった。ちょうどその瞬しゅん間かん、真っ黒の重いブラッジャーがハリーめがけて突とっ進しんしてきたからだ。間かん一いっ髪ぱつでかわしたが、ハリーの髪かみが逆さか立だつほど近くをかすめた。