スリザリンの高こう級きゅう箒ぼうきの力が明らかに発はっ揮きされていた。狂ったブラッジャーが、ハリーを空中から叩たたき落とそうと全力で狙ねらってくるので、フレッドとジョージがハリーすれすれに飛び回り、ハリーには二人がブンブン振ふり回す腕うでだけしか見えなかった。スニッチを捕つかまえるどころか、探すこともできない。
「誰かが――この――ブラッジャー――に――いたずらしたんだ――」またしてもハリーに攻こう撃げきを仕し掛かけるブラッジャーを全力で叩きつけながらフレッドが唸うなった。
「タイムアウトが必要だ」
ジョージは、ウッドにサインを送りながら、同時にハリーの鼻をへし折おろうとするブラッジャーを食い止めようとした。
ウッドはサインを理り解かいしたらしい。マダム・フーチのホイッスルが鳴なり響ひびき、ハリー、フレッド、ジョージの三人は、狂ったブラッジャーを避さけながら地面に急きゅう降こう下かした。
「何をやってるんだ」
観かん衆しゅうのスリザリン生せいが野や次じる中、グリフィンドール選手が集まり、ウッドが詰きつ問もんした。
「ボロ負けしてるんだぞ。フレッド、ジョージ――アンジェリーナがブラッジャーに邪じゃ魔まされてゴールを決められなかったんだ。あの時どこにいたんだ」
「オリバー、俺おれたち、その六メートルぐらい上のほうで、もう一つのブラッジャーがハリーを殺そうとするのを食い止めてたんだ」ジョージは腹立たしげに言った。
「誰かが細さい工くしたんだ――ハリーにつきまとって離れない。ゲームが始まってからずっとハリー以外は狙わないんだ。スリザリンのやつら、ブラッジャーに何か仕掛けたに違いない」
「しかし、最後の練習のあと、ブラッジャーはマダム・フーチの部屋に、鍵かぎを掛かけてずっと仕し舞まったままだった。練習の時は何も変じゃなかったぜ……」ウッドは心配そうに言った。