バシッ
ほんの一秒のスキだ。ブラッジャーがついにハリーを捕とらえ、肘ひじを強打した。ハリーは腕うでが折おれたのを感じた。燃えるような腕の痛みでぼーっとしながら、ハリーはずぶ濡ぬれの箒ほうきの上で、横よこ様ざまに滑すべった。使えなくなった右腕をダランとぶら下げ、片足の膝ひざだけで箒に引っかかっている。ブラッジャーが二度目の攻こう撃げきに突とっ進しんしてきた。今度は顔を狙ねらっている。ハリーはそれをかわした。意い識しきが薄うすれる中で、たった一つのことだけが脳のうに焼きついていた。――マルフォイのところへ行け。
雨と痛みですべてが霞かすむ中、ハリーは、下のほうにチラッチラッと見え隠かくれするマルフォイの嘲あざ笑わらうような顔に向かって急きゅう降こう下かした。ハリーが襲おそってくると思ったのだろう――マルフォイの目が恐きょう怖ふで大きく見開かれるのが見えた。
「い、いったい――」
マルフォイは息を呑のみ、ハリーの行く手を避さけて疾しっ走そうした。
ハリーは折れていないほうの手を箒から離はなし、激はげしく空くうを掻かいた。――指が冷たいスニッチを握にぎりしめるのを感じた。もはや脚あしだけで箒を挟はさみ、気を失うまいと必ひっ死しにこらえながら、ハリーはまっしぐらに地面に向かって突っ込こんだ。観かん衆しゅうから叫さけび声があがった。
バシャっと撥はねを上げて、ハリーは泥どろの中に落ちた。そして箒から転ころがり落ちた。腕が不ふ自し然ぜんな方向にぶら下がっている。痛みと疼うずきの中で、ワーワーというどよめきや口くち笛ぶえが、遠くの音のように聞こえた。やられなかったほうの手でしっかりと握ったスニッチに、ハリーは全ぜん神しん経けいを集中した。
「あぁ」ハリーは微かすかに言葉を発した。「勝った」――そして、気を失った。
他停顿的时间太长了一点儿。游走球终于击中了他,狠狠地撞向他的臂肘,哈利感到他的胳膊一下子断了。一阵烧灼般的疼痛,使他感到有些眩晕,在被雨水浇湿的飞天扫帚上滑向一侧,一条腿的膝盖仍然勾住扫把,右手毫无知觉地悬荡在身体旁边。游走球又朝他发起了第二次进攻,这次瞄准了他的脸。哈利猛。地偏离原来的方向,只有一个念头牢牢地占据着他已经迟钝的头脑:冲向马尔福。在朦胧的雨帘中,哈利忍着钻心的剧痛,冲向下面那张正在讥笑的发亮的脸。他看见那张脸上的眼睛惊恐地睁大了:马尔福以为哈利要来撞他。“你干吗—— ”他喘着气说,一边匆匆躲开哈利。哈利那只没有受伤的手松开扫帚,狠狠地伸出去一抓;他感到他的手指握住了冰冷的金色飞贼,但由于他现在只用两条腿夹住扫帚,便径直朝地面坠落下去,同时硬撑着不让自己昏迷过去,这时他听见下面的人群中传出一片惊呼。