「今夜は辛つらいですよ」ビーカーになみなみと湯ゆ気げの立つ薬を注ぎ、ハリーにそれを渡しながら、マダム・ポンフリーが言った。
「骨を再さい生せいするのは荒あら療りょう治じです」
『スケレ・グロ』を飲むことがすでに荒療治だった。一口飲むと口の中も喉のども焼けつくようで、ハリーは咳せき込こんだり、咽むせたりした。マダム・ポンフリーは、「あんな危き険けんなスポーツ」とか、「能のうなしの先生」とか、文もん句くを言いながら出ていき、ロンとハーマイオニーが残って、ハリーが水を飲むのを手伝った。
「とにかく、僕ぼくたちは勝った」ロンは顔中をほころばせた。
「ものすごいキャッチだったなあ。マルフォイのあの顔……殺してやるって顔だったな」
「あのブラッジャーに、マルフォイがどうやって仕し掛かけをしたのか知りたいわ」
ハーマイオニーが恨うらみがましい顔をした。
「質問リストに加えておけばいいよ。ポリジュース薬やくを飲んでからあいつに聞く質問にね」
ハリーはまた横になりながら言った。
「さっきの薬よりましな味だといいんだけど……」
「スリザリンの連れん中ちゅうの欠けらが入ってるのに 冗じょう談だん言うなよ」ロンが言った。
その時、医い務む室しつのドアがパッと開き、泥どろんこでびしょびしょのグリフィンドール選手全員がハリーの見み舞まいにやってきた。
「ハリー、超チョーすごい飛び方だったぜ」ジョージが言った。
「たったいま、マーカス・フリントがマルフォイを怒ど鳴なりつけてるのを見たよ。なんとか言ってたな――スニッチが自分の頭の上にあるのに気がつかなかった、とか。マルフォイのやつ、しゅんとしてたよ」
みんながケーキやら、菓か子しやら、かぼちゃジュースやらを持ち込こんで、ハリーのベッドの周まわりに集まり、まさに楽しいパーティが始まろうとしていた。その時、マダム・ポンフリーが鼻はな息いきも荒あらく入ってきた。
「この子は休きゅう息そくが必要なんですよ。骨を三十三本も再さい生せいさせるんですから。出ていきなさい 出なさい」
ハリーはこうして独ひとりぼっちになり、誰にも邪じゃ魔まされずに、萎なえた腕うでのズキズキという痛みとたっぷりつき合うことになった。