「ここが薬を隠かくすのに一番安全な場所だと思って」
ハリーはコリンのことを二人に話しはじめたが、ハーマイオニーがそれを遮さえぎった。
「もう知ってるわ。マクゴナガル先生が今け朝さ、フリットウィック先生に話してるのを聞いちゃったの。だから私たち、すぐに始めなきゃって思ったのよ――」
「マルフォイに吐はかせるのが早ければ早いほどいい」ロンが唸うなるように言った。
「僕ぼくが何を考えてるか言おうか マルフォイのやつ、クィディッチの試し合あいのあと、気分最低で、腹いせにコリンをやったんだと思うな」
「もう一つ話があるんだ」
ハーマイオニーがニワヤナギの束たばをちぎっては、煎せんじ薬ぐすりの中に投げ入れているのを眺ながめながら、ハリーが言った。
「夜中にドビーが僕のところに来たんだ」
ロンとハーマイオニーが驚おどろいたように顔を上げた。ハリーはドビーの話したこと――というより話してくれなかったこと――を全部二人に話して聞かせた。ロンもハーマイオニーも口をポカンと開けたまま聞いていた。
「『秘ひ密みつの部へ屋や』は以前にも開けられたことがあるの」ハーマイオニーが聞いた。
「これで決まったな」ロンが意い気き揚よう々ようと言った。
「ルシウス・マルフォイが学生だった時に『部屋』を開けたに違いない。今度は我われらが親しん愛あいなるドラコに開け方を教えたんだ。間違いない。それにしても、ドビーがそこにどんな怪かい物ぶつがいるか、教えてくれてたらよかったのに。そんな怪物が学校の周まわりをうろうろしてるのに、どうしていままで誰も気づかなかったのか、それが知りたいよ」
「それ、きっと透とう明めいになれるのよ」ヒルを突ついて大おお鍋なべの底に沈めながらハーマイオニーが言った。
「でなきゃ、何かに変へん装そうしてるわね――鎧よろいとかなんかに。『カメレオンお化ばけ』の話、読んだことあるわ……」
「ハーマイオニー、君、本の読みすぎだよ」
ロンがヒルの上から死んだクサカゲロウを、袋ふくろごと鍋にあけながら言った。空になった袋をくしゃくしゃに丸めながら、ロンはハリーのほうを振ふり返った。
「それじゃ、ドビーが僕たちの邪じゃ魔まをして汽き車しゃに乗れなくしたり、君の腕うでをへし折おったりしたのか……」
ロンは困ったもんだ、というふうに首を振ふりながら言った。
「ねえ、ハリー、わかるかい ドビーが君の命を救おうとするのをやめないと、結けっ局きょく、君を死なせてしまうよ」