ハリーは、何が自分を駆かりたてたのかわからなかったし、何かを決心したのかどうかさえ意い識しきがなかった。ただ、まるで自分の足にキャスターがついたように、体が前に進んでいったこと、そして、ヘビに向かってバカみたいに叫さけんだことだけはわかっていた。
「手を出だすな。去れ」
すると、不ふ思し議ぎなことに――説明のしようがないのだが――ヘビは、まるで庭の水みず撒まき用の太いホースのようにおとなしくなり、床に平たく丸まり、従じゅう順じゅんにハリーを見上げた。ハリーは、恐きょう怖ふがすーっと体から抜け落ちていくのを感じた。もうヘビは誰も襲おそわないとわかっていた。だが、なぜそう思ったのか、ハリーには説明できなかった。
ハリーはジャスティンを見てにっこりした。ジャスティンは、きっとほっとした顔をしているか、不ふ思し議ぎそうな顔か、あるいは、感かん謝しゃの表情を見せるだろうと思っていた。――まさか、怒った顔、恐きょう怖ふの表情をしているとは、思いもよらなかった。
「いったい、何を悪ふざけしてる�