「おやまあ、ポッツリ、ポッツン、チビのポッター」ヒョコヒョコ上下に揺ゆれながら、ハリーの脇わきを通り過ぎる時、メガネを叩たたいてずっこけさせながら、ピーブズが甲かん高だかい声ではやし立てた。「ポッター、ここで何してる ポッター、どうしてここにいる――」
ピーブズは空中宙ちゅう返がえりの途と中ちゅうで、はたと止まった。逆さかさまで、ジャスティンと「ほとんど首無しニック」を見つけた。ピーブズはもう半回転して元に戻もどり、肺はい一杯に息を吸すい込むと、ハリーの止める間もなく、大声で叫さけんだ。
「襲おそわれた 襲われた またまた襲われた 生きてても死んでても、みんな危あぶないぞ 命からがら逃げろ おーそーわーれーたー」
バタン――バタン――バタン。次々と廊ろう下かの両側のドアが勢いきおいよく開き、中からドッと人が出てきた。それからの数分間は長かった。大だい混こん乱らんのドタバタで、ジャスティンは踏ふみつぶされそうになったし、「ほとんど首くび無なしニック」の体の中で立ちすくむ生徒たちが何人もいた。先生たちが大声で「静かに」と怒ど鳴なっている中で、ハリーは壁かべにぴったり磔はりつけになったような格かっ好こうだった。マクゴナガル先生が走ってきた。あとに続いたクラスの生徒の中に、白と黒の縞しま模も様ようの髪かみのままの子が一人いる。マクゴナガル先生は杖つえを使ってバーンと大きな音を出し、静かになったところで、みんな自分の教室に戻もどるように命令した。なんとか騒さわぎが収おさまりかけたちょうどその時、ハッフルパフのアーニーが息せき切ってその場に現れた。
「現げん行こう犯はんだ」顔がん面めん蒼そう白はくのアーニーが、芝しば居いの仕し種ぐさのようにハリーを指ゆび差さした。
「おやめなさい、マクミラン」マクゴナガル先生が厳きびしくたしなめた。
ピーブズは上のほうでニヤニヤ意い地じの悪い笑いを浮うかべ、成なり行ゆきを見ながらふわふわしている。ピーブズは大混乱が好きなのだ。先生たちが屈かがみ込こんで、ジャスティンと「ほとんど首無しニック」を調べている時に、ピーブズは突とつ然ぜん歌いだした。