「ハリー、フォークスは不ふ死し鳥ちょうじゃよ。死ぬ時が来ると炎となって燃え上がる。そして灰の中から蘇よみがえるのじゃ。見ててごらん……」
ハリーが見下ろすと、ちょうど小さなくしゃくしゃの雛ひなが灰の中から頭を突き出しているところだった。雛も老ろう鳥ちょうの時と同じぐらい醜みにくかった。
「ちょうど『燃ねん焼しょう日び』にあれの姿を見ることになって、残念じゃったの」
ダンブルドアは事じ務む机づくえに座りながら言った。
「あれはいつもは実に美しい鳥なんじゃ。羽は見事な赤と金きん色いろでな。うっとりするような生いき物ものじゃよ、不死鳥というのは。驚くほどの重い荷を運び、涙なみだには癒いやしの力があり、ペットとしては忠ちゅう実じつなことこの上ない」
フォークスの火事騒さわぎのショックで、ハリーは自分がなぜここにいるのかを忘れていた。一いっ挙きょに思い出したのは、ダンブルドアが机に座り、背もたれの高い椅い子すに腰こし掛かけ、明るいブルーの瞳ひとみで、すべてを見み透すかすような眼まな差ざしをハリーに向けた時だ。
ダンブルドアが次の言葉を話しだす前に、バーンとどえらい音をたてて扉とびらが勢いきおいよく開き、ハグリッドが飛び込こんできた。目を血走らせ、真っ黒なもじゃもじゃ頭の上にバラクラバ頭ず巾きんをちょこんと載のせて、手には鶏とりの死し骸がいをまだぶらぶらさせている。
「ハリーじゃねえです。ダンブルドア先生」ハグリッドが急せき込んで言った。
「俺おれはハリーと話してたです。あの子が発見されるほんの数秒前のこってす。先生さま、ハリーにはそんな時間はねえです……」
ダンブルドアは何か言おうとしたが、ハグリッドが喚わめき続けていた。興こう奮ふんして鶏にわとりを振ふり回すので、そこら中に羽が飛び散った。