ホグワーツのクリスマス・ディナーだけは、何があろうと楽しい。たとえこれからポリジュース薬やくを飲むことを恐れている人だって、やっぱり楽しい。
大おお広ひろ間まは豪ごう華か絢けん爛らんだった。霜しもに輝かがやくクリスマス・ツリーが何本も立ち並び、ヒイラギとヤドリギの小枝が、天てん井じょうを縫ぬうように飾られ、魔法で、天井から暖かく乾かわいた雪が降ふりしきっていた。ダンブルドアは、お気に入りのクリスマス・キャロルを二、三曲指し揮きし、ハグリッドは、エッグノッグをゴブレットでがぶ飲みするたびに、もともと大きい声がますます大きくなった。「監かん督とく生せい」のバッジに、フレッドがいたずらして字を変え、「劣れっ等とう生せい」にしてしまったことに気がつかないパーシーは、みんながくすくす笑うたびに、どうして笑うのか聞いていた。マルフォイはスリザリンのテーブルから、聞こえよがしにハリーの新しいセーターの悪口を言っていたが、ハリーは気にも止めなかった。うまくいけば、あと数時間で、マルフォイは罪つみの報むくいを受けることになるのだ。
ハリーとロンが、まだクリスマス・プディングの三皿目を食べているのに、ハーマイオニーが二人を追い立てて大広間から連れ出し、今夜の計画の詰つめに入った。
「これから変へん身しんする相手の一部分が必要なの」
ハーマイオニーは、まるで二人にスーパーに行って洗せん剤ざいを買ってこいとでも言うように、事こともなげに言った。
「当然、クラッブとゴイルから取るのが一番だわ。マルフォイの腰こし巾ぎん着ちゃくだから、あの二人にだったらなんでも話すでしょうし。それと、マルフォイの取り調べをしてる最中に、本物のクラッブとゴイルが乱らん入にゅうするなんてことが絶ぜっ対たいないようにしておかなきゃ」
「私、みんな考えてあるの」