なぜリドルの日記を捨すててしまわないのか、ハリーは自分でもうまく説明できなかった。何も書いてないことは百も承しょう知ちなのに、ふと気がつくとハリーは何気なく日記を取り上げて、白紙のページをめくっていることが多かった。まるで最後まで読み終えてしまいたい物語か何かのように。
ティー・エム・リドルという名前は、一度も聞いたことがないのに、なぜか知っているような気がした。リドルが小さい時の友達で、ほとんど記き憶おくのかなたに行ってしまった名前のような気さえした。しかし、そんなことはありえない。ホグワーツに来る前は、誰一人友達がいなかった。ダドリーのせいで、それだけは確たしかだ。
それでも、ハリーはリドルのことをもっと知りたいと、強くそう願った。そこで次の日、休きゅう憩けい時間に、リドルの「特とく別べつ功こう労ろう賞しょう」を調べようと、トロフィー・ルームに向かった。興きょう味み津しん々しんのハーマイオニーと、「あの部屋は、もう一生見たくないぐらい十分見た」と言う不ふ承しょう不ぶ承しょうのロンも一いっ緒しょだった。
リドルの金きん色いろの盾たては、ピカピカに磨みがかれ、部屋の隅すみの飾かざり棚だなの奥に収おさまっていた。なぜそれが与えられたのか、詳くわしいことは何も書かれていない「そのほうがいいんだ。なんか書いてあったら、盾がもっと大きくなるから、きっと僕はいまでもこれを磨いてただろうよ」とロンが言った。リドルの名前は「魔ま術じゅつ優ゆう等とう賞しょう」の古いメダルと、首しゅ席せき名めい簿ぼの中にも見つかった。
「パーシーみたいなやつらしいな」
ロンは鼻にしわを寄せ、むかついたような言い方をした。
「監かん督とく生せい、首席――たぶんどの科目でも一番か」
「なんだかそれが悪いことみたいな言い方ね」
ハーマイオニーが少し傷きずついたような声で言った。