ハリーは部屋を見回した。不ふ死し鳥ちょうのフォークスもいない。くるくる回る銀の仕し掛かけ装そう置ちもない。これはリドルの記き憶おくの中のホグワーツだ。つまりダンブルドアではなく、この見知らぬ魔法使いが校長なんだ。そして自分はせいぜい幻まぼろしみたいな存在で、五十年前の人たちにはまったく見えないのだ。
誰かが扉をノックした。
「お入り」老人が弱々しい声で言った。
十六歳さいぐらいの少年が入ってきて、三さん角かく帽ぼう子しを脱ぬいだ。銀色の監かん督とく生せいバッジが胸に光っている。ハリーよりずっと背が高かったが、この少年も真っ黒の髪かみだった。
「ああ、リドルか」校長先生は言った。
「ディペット先生、何かご用でしょうか」リドルは緊きん張ちょうしているようだった。
「お座りなさい。ちょうど君がくれた手紙を読んだところじゃ」
「あぁ」と言ってリドルは座った。両手を固く握にぎり合わせている。
「リドル君」ディペット先生がやさしく言った。
「夏休みの間、君を学校に置いてあげることはできないんじゃよ。休きゅう暇かには、家に帰りたいじゃろう」
「いいえ」リドルが即そく座ざに答えた。
「僕ぼくはむしろホグワーツに残りたいんです。その――あそこに帰るより――」
「君は休きゅう暇か中ちゅうはマグルの孤こ児じ院いんで過ごすと聞いておるが」
ディペットは興きょう味み深げに尋たずねた。
「はい、先生」リドルは少し赤くなった。
「君はマグル出身かね」
「ハーフです。父はマグルで、母が魔女です」
「それで――ご両親は」
「母は僕が生まれて間もなく亡なくなりました。僕に名前をつけるとすぐに。孤児院でそう聞きました。父の名を取ってトム、祖そ父ふの名を取ってマールヴォロです」
ディペット先生はなんとも痛ましいというように頷うなずいた。
“您想见我, 迪佩特教授?”里德尔说,显得有些紧张。
“坐下吧,”迪佩特说,“我刚才一直在读你给我的那封信。”
“我亲爱的孩子,”迪佩特慈祥地说,“我不能让你留在学校过暑假。你肯定愿意回家度假吧?”
“不,”里德尔立刻说道,“我情愿留在霍格沃茨,也不‘愿到那个—— 那个—— ”
“是的,先生。”里德尔说,微微地红了脸。
“你是麻瓜生的吗?”
“你的父母都—— ”
“我母亲刚生下我就去世了,先生。他们在孤儿院里对我说,她只来得及给我起了名字:汤姆,随我的父亲。”
迪佩特同情地咂了咂舌头。