ハグリッドが、大きくて怪かい物ぶつのような生き物が好きだという、困った趣しゅ味みを持っていることは、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人とも、とっくに知っていた。去年、三人が一年生だった時、ハグリッドは自分の狭せまい丸まる太た小ご屋やで、ドラゴンを育てようとしたし、「ふわふわのフラッフィー」と名づけていたあの三さん頭とう犬けんのことは、そう簡単に忘れられるものではない。――少年時代のハグリッドが、城のどこかに怪物が潜ひそんでいると聞いたら、どんなことをしてでもその怪物をひと目見たいと思ったに違いない――ハリーはそう思った。
ハグリッドはきっと考えたに違いない――怪物が長い間、狭せま苦くるしいところに閉じ込こめられているなんて気の毒どくだ。ちょっとの間そのたくさんの脚あしを伸ばすチャンスを与えるべきだ――。十三歳さいのハグリッドが、怪物に、首くび輪わと引き紐ひもをつけようとしている姿が、ハリーの目に浮うかぶようだった。でも、ハグリッドはけっして誰かを殺そうなどとは思わなかっただろう。――ハリーはこれにも確かく信しんがあった。
ハリーは、リドルの日記の仕し掛かけを知らないほうがよかったとさえ思った。ロンとハーマイオニーは、ハリーの見たことを繰くり返し聞きたがった。ハリーは、二人にいやというほど話して聞かせたし、そのあとは堂どう々どう巡めぐりの議ぎ論ろんになるのにも、うんざりしていた。
「リドルは犯人を間違えていたかもしれないわ。みんなを襲おそったのは別な怪物だったかもしれない……」ハーマイオニーの意見だ。
「ホグワーツに、いったい何匹怪物がいれば気がすむんだい」ロンがぼそりと言った。
「ハグリッドが追つい放ほうされたことは、僕ぼくたち、もう知ってた。それに、ハグリッドが追い出されてからは、誰も襲われなくなったに違いない。そうじゃなけりゃ、リドルは表ひょう彰しょうされなかったはずだもの」ハリーは惨みじめな気持だった。
ロンには違った見方もあった。