「何をしているんだろう」とハリー。
「飛びかかる準じゅん備びだろう」とロン。
震ふるえながら、金かな縛しばりにあったように、二人は待ち続けた。
「行っちゃったのかな」とハリー。
「さあ――」
突とつ然ぜん右のほうにカッと閃せん光こうが走った。暗闇の中での眩まぶしい光に、二人は反はん射しゃ的てきに手をかざして目を覆おおった。ファングはキャンと鳴いて逃げようとしたが、荊に絡からまってますますキャンキャン鳴いた。
「ハリー」ロンが大声で呼んだ。緊きん張ちょうが取れて、ロンの声の調子が変わった。
「僕たちの車だ」
「えっ」
「行こう」
ハリーはまごまごとロンのあとについて、滑すべったり、転ころんだりしながら光のほうに向かった。まもなく開けた場所に出た。
ウィーズリー氏しの車だ。誰も乗っていない。深い木の茂しげみに囲まれ、木の枝が屋や根ねのように重なり合う下で、ヘッドライトをギラつかせている。ロンが口をあんぐり開けて近づくと、車はゆっくりと、まるで大きなトルコ石色の犬が、飼かい主ぬしに挨あい拶さつするようにすり寄ってきた。
「こいつ、ずっとここにいたんだ」ロンが、車の周まわりを歩きながらうれしそうに言った。
「ご覧らんよ。森の中で野や生せい化かしちゃってる……」
車の泥どろよけは傷きずだらけで泥んこだった。勝手に森の中をゴロゴロ動き回っていたようだ。ファングは車がお気に召めさないようだ。すねっ子のようにハリーにぴったりくっついている。ファングが震ふるえているのが伝わってきた。ハリーはようやく呼こ吸きゅうも落ち着いてきて、杖つえをローブの中に収おさめた。
「僕ぼくたち、こいつが襲おそってくると思ったのに」ロンは車に寄りかかり、やさしく叩たたいた。「おまえはどこに行っちゃったのかって、ずっと気にしてたよ」
“来吧!”
汽车的两翼被刮破了,上面沾满烂泥。显然它形成了独自在树林里移动的习惯。牙牙似乎对它丝毫不感兴趣;它寸步不离地跟着哈利。哈利可以感觉到它在发抖。哈利的呼吸又慢慢平静下来,他把魔杖收回到长袍里。