「ハグリッドは一度もこの窪地に人を寄こしたことはない」ゆっくりとアラゴグが言った。
「ハグリッドが大変なんです」息を切らしながらハリーが言った。
「それで、僕たちが来たんです」
「大変」
年とし老おいた巨大蜘蛛の鋏の音が気き遣づかわしげなのを、ハリーは聞き取ったように思った。
「しかし、なぜおまえを寄こした」
ハリーは立ち上がろうとしたが、やめにした。とうてい足が立たない。そこで、地べたに這ったまま、できるだけ落ち着いて話した。
「学校のみんなは、ハグリッドがけしかけて――か、怪かい――何物かに、学生を襲おそわせたと思っているんです。ハグリッドを逮たい捕ほして、アズカバンに送りました」
アラゴグは怒いかり狂って鋏はさみを鳴らした。蜘く蛛もの群むれがそれに従い、窪くぼ地ち中に音がこだました。ちょうど拍はく手しゅ喝かっ采さいのようだったが、普通の拍手なら、ハリーも恐きょう怖ふで吐はき気を催もよおすことはなかったろう。
「しかし、それは昔の話だ」アラゴグは苛いら立だった。
「何年も何年も前のことだ。よく覚えている。それでハグリッドは退たい学がくさせられた。みんながわしのことを、いわゆる『秘ひ密みつの部へ屋や』に住む怪かい物ぶつだと信じ込こんだ。ハグリッドが『部屋』を開けて、わしを自由にしたのだと考えた」
「それじゃ、あなたは……あなたが『秘密の部屋』から出てきたのではないのですか」
ハリーは、額ひたいに冷ひや汗あせが流れるのがわかった。
「わしが」アラゴグは怒りで鋏を打ち鳴らした。
「わしはこの城で生まれたのではない。遠いところからやってきた。まだ卵たまごだった時に、旅人がわしをハグリッドに与えた。ハグリッドはまだ少年だったが、わしの面めん倒どうを見てくれた。城の物もの置おきに隠かくし、食事の残り物を集めて食べさせてくれた。ハグリッドはわしの親友だ。いいやつだ。わしが見つかってしまい、女の子を殺した罪つみを着せられた時、ハグリッドはわしを護まもってくれた。その時以来、わしはこの森に住み続けた。ハグリッドはいまでも時々訪たずねてきてくれる。妻つまも探してきてくれた。モサグを。見ろ。わしらの家族はこんなに大きくなった。みんなハグリッドのおかげだ……」
ハリーはありったけの勇ゆう気きを搾しぼり出した。
“海格遇到麻烦了,”哈利说,他的呼吸非常急促,“所以我们才来的。”
“麻烦?”那只年迈的蜘蛛说。哈利觉得他在咔哒咔哒的大螯声中听出了几分关切。“但他为什么要派你们来呢?”
“在学校里,他们认为海格最近放出一个—— 一个—— 什么东西加害学生。他们把他带到阿兹卡班去了。”
咔哒咔哒,阿拉戈克愤怒地舞动着大螯,这声音得到了凹地上那一大群蜘蛛的响应,这就像是掌声,只不过通常的掌声是不会使哈利恐惧得作呕的。
“但那是很多年前的事了,”阿拉戈克恼火地说,“很多、很多年以前了。我记得很清楚。正是因为这件事,他们当时才让他离开学校的。他们相信我就是那只住在他们所谓的密室里的怪物。他们以为是海格打开了密室,把我放了出来。”
“那么你..你不是从密室里出来的?”哈利问,感到他脑门上出了一层冷汗。
“我!”阿拉戈克说,大螯愤怒地咔哒咔哒,“我不是生在城堡里的。我来自一个遥远的国度。当我还没有从蛋里孵出来时,一个旅游者把我送给了海格。当时海格还只是一个小孩子,但他照顾着我,把我藏在城堡的一个碗橱里,喂我吃撤在餐桌上的面包屑。海格是我的好朋友,他是一个好人。人们发现了我,并要我为一个姑娘的死承担责任时,是他保护了我。从那以后,我就一直住在这树林里,海格还经常来看我。他甚至还给我找了个妻子—— 莫萨格。你看到我们的家庭发展得多么兴旺,这都是托了海格的福..”
哈利鼓起他剩余的一点儿勇气。