「それじゃ、一度も――誰も襲おそったことはないのですか」
「一度もない」年とし老おいた蜘く蛛もは嗄しわがれ声を出した。
「襲うのはわしの本ほん能のうだ。しかし、ハグリッドの名めい誉よのために、わしはけっして人間を傷きずつけはしなかった。殺された女の子の死体は、トイレで発見された。わしは自分の育った物置の中以外、城のほかの場所はどこも見たことがない。わしらの仲なか間まは、暗くて静かなところを好このむ……」
「それなら……いったい何が女の子を殺したのか知りませんか 何者であれ、そいつはいま戻もどってきて、またみんなを襲って――」
カシャカシャという大きな音と、何本もの長い脚あしが怒りでこすれ合う、ザワザワという音が湧わき起こり、言こと葉ばが途と中ちゅうでかき消された。大きな黒いものがハリーを囲んでガサゴソと動いた。
「城に住むその物は」アラゴグが答えた。
「わしら蜘蛛の仲間が何よりも恐れる、太たい古この生いき物ものだ。その怪かい物ぶつが、城の中を動き回っている気配を感じた時、わしを外に出してくれと、ハグリッドにどんなに必ひっ死しで頼んだか、よく覚えている」
「いったいその生き物は」ハリーは急せき込こんで尋たずねた。
また大きなカシャカシャとザワザワが湧いた。蜘蛛がさらに詰つめ寄ってきたようだ。
「わしらはその生き物の話をしない」アラゴグが激はげしく言った。「わしらはその名前さえ口にしない ハグリッドに何度も聞かれたが、わしはその恐ろしい生き物の名前を、けっしてハグリッドに教えはしなかった」
ハリーはそれ以上追つい及きゅうしなかった。巨大蜘ぐ蛛もが、四し方ほう八はっ方ぽうから詰つめ寄ってきている。いまはだめだ。アラゴグは話すのに疲れた様よう子すだった。ゆっくりとまた蜘蛛の巣すのドームへと戻もどっていった。しかし仲なか間まの蜘蛛は、じりっじりっと少しずつ二人に詰め寄ってくる。
“没有,”老蜘蛛怨恨地说,“我是有这种本能的,但出于对海格的尊敬,我从未伤害过一个人。那个被害姑娘的尸体是在一间盥洗室里发现的。而除了我在里面长大的碗橱,我从未见过城堡的任何部分。我们蜘蛛喜欢阴暗和寂静..''
“可是当时..你知道是什么害死了那姑娘吗?”哈利说,“因为不管那是什么东西,现在又回来对人发起攻击了—— ”
“我们不说!”阿拉戈克情绪激烈地说,“我们不说出它的名字!我甚至没有把那个可怕生物的名字告诉海格,尽管他问过我,问过许多次。”