ハリーとロンは、罰ばっ則そくを与えられなかったことが、半はん信しん半はん疑ぎのままその場を立ち去った。角かどを曲がった時、マクゴナガル先生が鼻をかむ音が、はっきり聞こえた。
「あれは、君の作り話の中でも最さい高こう傑けっ作さくだったぜ」ロンが熱を込めて言った。
こうなれば、医い務む室しつに行って、マダム・ポンフリーに「マクゴナガル先生から許きょ可かをもらって、ハーマイオニーの見み舞まいにきた」と言うほかはない。
マダム・ポンフリーは二人を中に入れたが、しぶしぶだった。
「石になった人に話しかけても何にもならないでしょう」と言われながら、ハーマイオニーのそばの椅い子すに座ってみると、二人とも「まったくだ」と納なっ得とくした。見み舞まい客きゃくが来ていることに、ハーマイオニーが全然気づいていないのは明らかだった。ベッド脇わきの小こ机づくえに「心配するな」と話しかけても、効こう果かは同じかもしれない。
「でも、ハーマイオニーが自分を襲おそったやつを本当に見たと思うかい」
ロンが、ハーマイオニーの硬こう直ちょくした顔を悲しげに見ながら言った。
「だって、そいつがこっそり忍しのび寄って襲ったのだったら、誰も見ちゃいないだろう……」
ハリーは、ハーマイオニーの顔を見てはいなかった。右手のほうに興きょう味みを持った。屈かがみ込こんでよく見ると、毛布の上で固く結んだ右手の拳こぶしに、くしゃくしゃになった紙切れを握にぎりしめている。
マダム・ポンフリーが、そのあたりにいないことを確かく認にんしてから、ハリーは、ロンにそのことを教えた。
「なんとか取り出してみて」ロンは椅子を動かし、ハリーがマダム・ポンフリーの目に触ふれないように遮さえぎりながら囁ささやいた。
簡単にはいかない。ハーマイオニーの手が紙切れをガッチリ握りしめているので、ハリーは紙を破いてしまいそうだった。ロンを見み張はりに立て、ハリーは引ひっ張ぱったり、捻ひねったり、緊きん張ちょうの数分の後、やっと紙を引っ張り出した。
図書室の、とても古い本のページがちぎり取られていた。ハリーはしわを伸ばすのももどかしく、ロンも屈み込んで一いっ緒しょに読んだ。