ロックハートは二人の目を見ないようにし、引き出しをぐいと開け、中のものを引っくり返してバッグに入れながら言った。
「誰よりも私が一番残念に思っている――」
「『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』の先生じゃありませんか」ハリーが言った。
「こんな時にここから出ていけないでしょう これだけの闇の魔術がここで起こっているというのに」
「いや、しかしですね……私がこの仕事を引き受けた時は……」
ロックハートは今度はソックスをローブの上に積み上げながら、もそもそ言った。
「職しょく務む内容には何も……こんなことは予よ想そうだに……」
「先生、逃げ出すっておっしゃるんですか」ハリーは信じられなかった。
「本に書いてあるように、あんなにいろいろなことをなさった先生が」
「本は誤ご解かいを招まねく」ロックハートは微び妙みょうな言い方をした。
「ご自分が書かれたのに」ハリーが叫さけんだ。
「まあまあ坊ぼうや」ロックハートが背せ筋すじを伸ばし、顔をしかめてハリーを見た。
「ちょっと考えればわかることだ。私わたしの本があんなに売れるのは、中に書かれていることを全部私がやったと思うからでね。もしアルメニアの醜みにくい魔ま法ほう戦せん士しの話だったら、たとえ狼おおかみ男おとこから村を救ったのがその人でも、本は半分も売れなかったはずです。本人が表紙を飾かざったら、とても見られたものじゃない。ファッション感かん覚かくゼロだ。要するに、そんなものですよ……」
「それじゃ、先生は、ほかのたくさんの人たちのやった仕事を、自分の手て柄がらになさったんですか」ハリーはとても信じる気になれなかった。
「ハリーよ、ハリー」
ロックハートは焦じれったそうに首を振ふった。
“这个,这个,怎么说呢..当初我接受这份职务时..”洛哈特含糊不清地嘟囔着,一边把袜子堆在箱子里的衣服上面,“工作条例里并没有包括..我没想到..”