「そんなに単たん純じゅんなものではない。仕事はしましたよ。まずそういう人たちを探し出す。どうやって仕事をやり遂とげたのかを聞き出す。それから『忘ぼう却きゃく術じゅつ』をかける。するとその人たちは自分がやった仕事のことを忘れる。私が自じ慢まんできるものがあるとすれば、それは『忘却術』ですね。ハリー、大変な仕事ですよ。本にサインをしたり、広こう告こく写真を撮とったりすればすむわけではないんですよ。有名になりたければ、倦うまず弛たゆまず、長く辛つらい道のりを歩む覚かく悟ごが要いる」
ロックハートはトランクを全部バチンと締しめ、鍵かぎを掛かけた。
「さてと。これで全部でしょう。いや、一つだけ残っている」
ロックハートは杖つえを取り出し、二人に向けた。
「坊ぼっちゃんたちには気の毒どくですがね、『忘却術』をかけさせてもらいますよ。私の秘ひ密みつをペラペラそこら中でしゃべったりされたら、もう本が、一冊も売れなくなりますからね……」
ハリーは自分の杖に手を掛かけた。間かん一いっ髪ぱつ、ロックハートの杖が振ふり上げられる直前に、ハリーが大声で叫さけんだ。
「エクスペリアームス 武ぶ器きよ去れ」
ロックハートは後ろに吹ふっ飛んで、トランクに足をすくわれ、その上に倒れた。杖は高々と空中に弧こを描えがき、それをロンがキャッチし、窓から外に放り投げた。
「スネイプ先生にこの術じゅつを教えさせたのが、間違いでしたね」
ハリーは、ロックハートのトランクを脇わきのほうに蹴け飛とばしながら、激はげしい口調で言った。ロックハートは、また弱々しい表情に戻もどってハリーを見上げていた。ハリーは、ロックハートに杖を突きつけたままだった。
「私に何をしろと言うのかね」ロックハートが力なく言った。
「『秘密の部屋』がどこにあるかも知らない。私には何もできない」
「運のいい人だ」ハリーは杖を突きつけて、ロックハートを立たせながら言った。
「僕ぼくたちはそのありかを知っていると思う。中に何がいるかも。さあ、行こう」
ロックハートを追い立てるようにして部屋を出て、一番近い階段を下り、例の文字が闇やみの中に光る、暗い廊ろう下かを通り、三人は「嘆なげきのマートル」の女子トイレの入口にたどり着いた。
哈利及时地拔出自己的魔杖。洛哈特刚把魔杖举起,哈利就大吼一声,“除你武器!”
洛哈特被击得倒退几步,摔倒在他的皮箱上。他的魔杖高高地飞到空中,被罗恩接住,扔到敞开的窗户外面去了。
“算你运气好,”哈利说,他用魔杖指着洛哈特,强迫他站起身来,“我们碰巧知道密室在哪里。还知道密室里关着什么。走吧。”
他们押着洛哈特走出他的办公室,沿着最近的一道楼梯下去,走过墙上闪着那些文字的昏暗走廊,来到哭泣的桃金娘的盥洗室门口。